最後の願い… (臨帝)


死ネタですのでご注意を…










「殺して下さい。」

と、静かにその言葉を言った帝人くんに俺は何時もの様に笑えなかった。




【最後の願い…】



最初は単なる興味津々であの子に近付いた。

利用して捨てるつもりでいた竜々峰帝人と言うダラーズの創立者

だがいつの間にかあの子が隣にいるのが普通になっていた。

だから気付かなかったのだ

帝人くんに言われるまで


「…何で?」
「え…」
「何で殺してなんて言うのかって聞いてるんだよ」

良いよと笑って殺すしてあげるのも今まで利用して来たお礼と言う理由で殺す事もできた。
けれど口から出た言葉は理由を追求しようと、殺したくないと言う思い。

「…最後ぐらい選びたいと思って」
「俺の手によって殺される事を?」
「もうダラーズも消滅させましたし、やり残しは無くなってもう生きる意味を失いました。手を汚し過ぎました」
「そんなの」

言おうとした言葉を貴方は違いますと感情が無い瞳を細め作り笑いをする帝人はとても…悲しそうで

「どこが」
「何もかもが僕達は違います。だから利用しあえた」
「何言ってんのもう利用しあうのが終わりみたいじゃない」
「終わりです。貴方が殺してくれなくても、僕は近いうちに死にます。」

必ず死ぬ。と帝人の口から発せられた言葉に愕然した。
そして誰かに言われた言葉をふっと思い出した

『貴方には失う怖さや悲しさなんて一生分からないんでしょうね』

冷めた様なその言葉にきょとんとした顔をして笑ったのを覚えている。

(分かりたいと思った事はあったよ。けどこんな…)

こんな、失うのが怖いと思ってしまう事になるなんて思いもしなかった。

「殺して下さい。貴方の手によって死にたいんです。臨也が好きだから」
「っ…帝人君って酷いよね。殺して欲しいと願って、そんな言葉を言う。俺の思いも知らないで」

好きだなんだ。人全員をじゃなく君一人だけを
手放したくいない程に愛している。


「……僕」
「それは、俺への命令?」
「え…?」
「だからそれがダラーズの俺への最後の命令?」
「違っ、僕は願ってるんですっ」

命令じゃないと首を横に振る帝人君は今にも泣き出してしまいそうでとても弱く見える。
だが、この二十歳にもなっていない子供が組織を作り、大きくなりすぎた組織を潰した。
この子は怪我を…死をもう恐れない。純粋だった帝人はもう居ない。

「臨也さん?」

黙り込んでしまえば心配そうに近付いて来る帝人君の腕を掴み抱き寄せると仄かに血の匂いがした。
初めて会ったあの頃は血の匂いを漂わせる事もしない純粋な少年だった。それを変えたのは他でもない俺

「良いよ。殺してあげる」

責任を持って俺が君を殺してあげる。

好きだなんて伝えない

「臨也さんありがとうございます。貴方のそう言うところ大好きですよ。」
「俺は……嫌いだよ。」

にっこりと笑う帝人君に俺は愛用のナイフを懐から取り出すと首に刃をヒタリと置いた。
力を入れて引いたら息の根が止まるだろう。

「臨也さん、みんなには適当にごまかしておいて下さい。」
「とことん面倒を残すよね君って…」
「あはは、すいません。」

刃物を突き付けられているとは思えない程、冷静で笑顔を絶やさない帝人はまるで笑顔意外の表情を忘れた様だった
さっきまでとは違うのだ一つの表情しかしない。見せてくれない。それだけ覚悟をしているのだろうだから、断る事が出来なかった。

「臨也さん」

優しさが残る声で名前を呼ばれ刀を持っている手に帝人の手が添えられる。
まるで早く殺してと言っている様に

「本当に君って残酷だよ。帝人くん」

グサッと肉を切る音が、感覚がすると帝人の首から血が吹き出て添えられていた手は離れ、まるでスローモーションの様にドスッと鈍い音を立てて倒れた。
返り血が手に、服に、顔にかかった事なんて気にしない。

「はは…あはははっ!」

声を上げて笑う。

別に嬉しい訳でも無く

涙が出そうになるのを紛らわす様に

「帝人くん……好きだった。俺も好きだ。」

口を開いて、答えてくれない帝人に実感した。
自分がこの少年を殺したんだと
抱き上げて抱き締めると温もりがある帝人の体に時間たったら冷たくなるのだと

「ごめんっ…」

本当は知っていた。
帝人君が病気に苦しめられていた事を
医者に口止めしていた事も
知っていて、何も言わなかった…
言わなかった。

どんな言葉を掛けたらいいか分からないし、帝人君は知られたくなかったみたいだったから

「好きだったんだっ!」

だから、下手に傷つけたくないと

「一緒の所に行けるかな?」

ナイフを、帝人君を刺したナイフを自分の首元にヒッタリと当てる。

「行きたいな」

帝人の隣に倒れる臨也の首からは同じく血が流れ、その場は殺人現場の様に血溜まりが出来ており、二人はそのどちらとも分からない血に濡れていた

だが二人の表情は幸福そうだったと言う








-END-
だぁああっ!!
久々に書いた小説が暗いっ、暗すぎるっ!!
でも結構気に入ってたり(笑)


2010.9.24 完成
2010.10.14 移動






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