案内人
とりあえず近くから回る事にした二人は木の葉を歩いていた
端から見れば美男美女が歩いている様に見えるのかチラチラとすれ違う度に見られる事に二人は一切気にする事なく前を歩く蒼火にまた迷う気かとため息を吐いた
「蒼火、そっちは行き止まりだ」
「えっ、こっちは?」
「そっちはさっきの場所に戻るぞ」
「………案内してくれるんじゃないんですか?」
「案内はしてるだろ」
確かに道は教えてくれるが、観光案内の様に丁寧に案内はしてくれない
そこを右だの左だの言うだけで行き場などここがどこだの言わない
「そう言えば蒼火は何で火影の依頼は受けるんだ?」
「借りがありまして火影だからではなく、綱手姫だから依頼を受けているだけですよ」
「なるほどな。あ、そこ右な」
黒燈の言葉に従い蒼火は曲がり角を右に回った
「私も質問なんですが…」
「なんだ?」
「どこに向かっているんですか?」
指示道理に歩いていればそのうちに場所に着くことは分かっているが、やはり行き場は誰しも気になるもの
「甘味所だ」
「え、甘味所ですか?」
意外な答えに蒼火は驚いた声を上げたが、それを嫌なのかと解釈した黒燈は何だ嫌なのか?と足を止めた
「いえ、甘い物は好きですから」
気分を害してしまったのかと少し慌てた様にした蒼火は笑顔を向け、目的地が分からないのに進もうと足を踏み出したらまた黒燈からの指示が開始されたため蒼火は無事に甘味所にたどり着く事ができた
「ありがとうございました」
黒燈はブラック珈琲を、蒼火は砂糖とミルクをたっぷり入れた珈琲に饅頭を食べながらここまで短時間で来れたことにお礼を言った
「いや、俺も気晴らしが出来たから丁度良かった」
「なら良いんですけど。しばらくは木の葉に身を置くつもりなのでこれからもよろしくお願いします」
深々とお辞儀をする蒼火に礼儀は良いよなと思いながらこちらこそと返す
堅苦しいなぁとも思ったが、繋がりが出来たことに嬉しさを感じていた
雑談をしながら過ごすこと数分がやがやと賑やかな声が近付いて来るのに気が付いた
「お腹減ったー」
「もう一歩も動けねぇー!」
「疲れた時は甘いものよね」
黒燈にとっては聞き慣れた声とチャクラにげっと声を上げてしまった
「黒燈、どうかしましたか?」
「あー何でもねぇ」
何でもないと言う割にそわそわと辺りを見渡す行動は明らかに不信で蒼火は溜め息を漏らした
「名家の跡取り達ですか」
警戒した様に顔を強ばらせた黒燈に蒼火は無防備に饅頭を手に持ちかぶりつく
「知ってんのか?」
「んっ…美味しい」
呑気に饅頭の感想を言う蒼火に脱力しかけながら入り口から入って来たチョウジ、シノ、キバ、イノ、サクラ、ヒナタによりによって何でこいつらなんだと頭を抱えたくなった
「狙うなよ」
「狙いませんよ」
得する事がないですからとまた饅頭の余りにかぶりついた蒼火はやっぱり美味いと残りの饅頭を食べ終えた
「それに、護衛も任されたこともありますし名前も顔も知っているので狙うならもっと考えて動きますよ」
「お前…」
ふふふと笑い誤魔化す様に笑った蒼火は甘い珈琲を飲み干して席を立ち上がった
「お迎えみたいですね」
羽ばたいて蒼火の肩に止まった青い大きな鳥は来たことを知らせる様に一度鳴くと羽を広げた
「この子は連絡鳥の夜霧(よぎり)、人の前にはあまり姿を現さない警戒心が強い鳥です」
「夜霧…良い名だな。夜霧が来たって事は任務か?」
頭を撫でようと手を伸ばした黒燈に夜霧はギロリと黒燈を睨み付けカブッと容赦なく尖ったくちばしで獲物を捕らえるかのように指にかぶりついた
「いってぇ!!」
「夜霧!大丈夫ですか?」
指を抑えてうずくまる黒燈を見て慌てる蒼火と、ツンとそっぽを向いてざまぁみろと言うような夜霧、様々な表情をしていればそれを止めるかの様に暗部の連絡鳥が机の上に止まった
「黒燈も任務みたいですね」
「みたいだな」
「では、行きましょうか」
「そうだな」
夜霧と黒燈は冷戦状態のまま机にお金を置くと瞬身を使い二人は消えた
火影の綱手姫の元に向かうために
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おまけ
ざわざわと繁盛している甘味屋の中心には黒髪に同じ色の黒い瞳をした木の葉最強の黒 と青い髪に紅い瞳の美女にも見える青年がいた
「うわー、美男美女ってああいうのを言うのね」
「凄い迫力よねー」
「お似合いなカップル…ですね」
「ヒナタもそう思う!?」
そうよねーと同意するサクラとイノにコクコクと顔を赤くして頷くヒナタに男性三人は理解できず首を傾げていた
その日から美男美女が甘味屋に現れるとの噂が広がったが、それを二人が知ることになるのはかなり先のこととなる
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夜霧はきっと後からしゃしゃり出て来た黒燈の事が気に食わないだろうなぁーとニヤニヤしながら書いてみたのですが同じ様にニヤニヤして頂ければ光栄ですw
2013.12.17 完成
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