別れ(チマシカ大人ナル)
手放したくない
けれど手放さなければならない
人と関わり過ぎるのは俺にとってもシカマルにとっても良くない
それは分かっていても複雑な気持ちになる
「シカマル、お前は…どうしたい?」
聞くのが恐ろしい
耳を塞ぎたくなるのを我慢しながら俺は真っ直ぐにシカマルを見た
「俺は……」
しばらくの沈黙
それは息苦しく今すぐに逃げ出したいと思った
「俺は、ナルトと一緒にいたい」
「!」
予想もしていなかった答えに俺は驚きに目を見開いた
駄目だと本当はすぐに言って断るべきだ
それができないのが俺という存在だ
人にも、
妖にもなりきれない中途半端な存在…
「駄目だ」
凛と響いた声は九ちゃんのものでそれにハッと意識が戻って来た
「どうしてだよ?」
「お前は人だ、我々とは違う」
「?」
「分からんのか、我々は人ではない、妖だ」
「あやかし…ナルト…」
「…本当だ」
沈黙を通していたナルトは話を振られても冷静に答えた真実だと言う様に真剣な顔をして
「俺はこいつ、九尾と契約してもう100年は生きている。人と関わり過ぎてはいけない存在だ」
「…ならなんで俺を!」
「……俺も元は人の子だったその甘さなのかもな」
寂しげに笑ったナルトはこのままではシカマルがこちら側に近付きすぎてしまうと思い印を組んだ今までシカマルとナルト、九ちゃんとか過ごした時間全部を忘れさせるために
「…シカマル、こんな選択しかできなくてごめんな」
眠りについたシカマルにナルトは涙を流して謝った
何度も何度も…けれどシカマルが寝ている間にしなければ行けないことがあった
「九ちゃん、婆ちゃんに連絡してくれ。一人預かって欲しい子供がいるって」
「あぁ」
ナルトのしたいことを読み取った九尾は婆ちゃんと呼ばれた綱手に連絡鳥を放った
「これでお別れだ」
もう真っ正面から向き合うことも話すことも、笑い合うこともないのだ
今まで楽しい日々をありがとう
それが今一番伝えたいこと
「本当に良いのかい?」
「うん」
「後悔しないかい?」
「後悔ならもうしてるよ。人間と関わり過ぎた」
綱手も半妖であるが人間に近いため人間を守り保護する立場にいる
そのための訪問だ
「そうかい。分かったよ…シカマルはこっちでしっかり面倒を見よう」
「ありがとう。じゃあ俺はもう行くよ」
「また何時でも来るといい」
「うん」
ありがとうと言ってナルトは綱手の前から消えた
さようなら
大切な子供
さようなら
大切な家族
さようなら
大切な大切な
愛し子よ
-END-
完全に別れて終わってしまった……うう、もっと明るく終わりたかったのに!!
2013.12.5 完成
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