生きる意味(シカスレナル+爺)



※死ネタ??










いつ死んでも良いと思っていた

死んでも悲しむ人はいない

だから俺は爺の誇りのため、里のために命を落しても良いと思っていた

例え表では里の者に罵られ、殺されかけても

俺は裏から里を、爺を支えていた

けれど爺が死んだ事をきっかけに俺の中で何かが崩れるような音がした


綱手も、カカシも、同期の奴らも表の俺しか知らない

でも…


「ナルト、お前…辛いなら辛いって言えよ。何かを隠してても良いけどよ…辛いなら一言言えば良いだろ。だから、そんな顔で笑ってんじゃねぇーよ」

「っ……んで…」


シカマルの声が昔、爺に言われた言葉にそっくりで俺は一瞬昔の事を思い出していた


『ナルト、辛い時は辛いって言って良いからの。辛いって一言言ってくれんかの?』


頭を優しく撫でてそう言った爺…

俺が唯一信じ、無くしたくないと思った人


「おい、ナルト?」

「…ない…」

「は…?」

「……には…お前には関係ない!」


俺は首を横に振り何も聞きたくないと言うように両耳を両手で押さえシカマルから距離を取り俺はそのまま瞬身を使いその場から消えた

それからあいつの存在に苛立ち、避ける様になった

そんな時だった俺の体が九尾のチャクラに悲鳴を上げ始めたのは…

初めは単なる違和感で気に止める事もなかった

だが、その違和感は徐々に痛みや痺れに変化していった


「…ナルト」

(うるさい!…俺に話し掛けるな!!)


キッと睨み付け俺は無視を決め込む


「待てってナルト」

(最悪だ。何で休日にこんな奴と会うんだ)

「おい」


いつもの口癖はどうした?

めんどくさいだろ?

どうして関わる?


「………はぁ…何が言いたい」

「!…この間の話しだ」


何時もの口調じゃない俺の言葉に一瞬驚いた様に目を見開いたが直ぐに話を振ってきた


「……俺は誰にも頼らない」

「少しは頼れよ。苦しいって言え」

「苦しいなんて言わない」

「抱え込み過ぎだ」

「別に抱え込んでない」

「………」

「………」


堂々巡りの会話にシカマルは眉を寄せ沈黙したためナルトも口を閉ざした


「心配しなくても俺はもうすぐ死ぬ」

「なっ!!」

「だからもう関わるな」

「どういう事だよ!お前が死ぬって…!」


驚愕するシカマルに俺は内心何でそんな事を話したのかと自問自答をしただが問い詰められるのを避ける様に俺は無理矢理話を切り上げた


「じゃあな」

「まてっ、ナルトっ!!」


シカマルの手が伸びて来てナルトを掴えようとしたがヒラリと交わし、その場から去ろうとしたがドクンと突然心臓が脈をうった


「っ!」

「ナルト!?」


俺は心臓辺りを押さえその場にうずくまると息ができずヒューヒューと過呼吸を起こし苦しさに涙が滲む


「ナルトしっかりしろ!」


シカマルの前で最悪だとか、何でこんなにシカマルは必死なんだとか言いたい言葉思い浮かんでは消える

意識が朦朧としてきた頃シカマルの声が聞こえた


「ナルト大丈夫だ。俺がいる。ゆっくり息をしろ」


吸って…吐いてと繰り返される声に俺はシカマルの言葉に従いながら吐く度に走る痛みを堪えた

トントンと背中に感じる規則正しい感覚に安心すると同時に意識を闇へと沈んでいった


「眠った…のか?」


スースーと安定した呼吸にほっと肩の力を抜いたシカマルはナルトが起きた時まず何を聞こうかとナルトを抱き上げ落ち着ける場所へと向かった

奈良家の土地に足を踏み入れればどこからともなく現れるシカ達に気を止めず足を進めたシカマルはある所で足を止めた


「この辺だな」


シカマルがいつも訪れる池に近い大きな木にナルトを下ろし俺はその隣に腰を下ろした

やることがないシカマルはナルトが言っていた言葉を思い出していた


「……死ぬってあいつ言ってたよな」


ナルトが九尾の力を持っていることは知ってる

あいつが陰でどんだけ頑張っていたのかも……


「お前の横に立てる存在になれればな」


ナルトの頭を撫でながらポツリと本音を呟いた


「……んっ…」


ピクリと反応を示したナルトの瞼は揺れうっすらと開いたかと思えば一気に目を見開いた

バッと立ち上がろうとした瞬間に目眩と体の力が入らなかった事によりバランスを崩した


「ーーっ!?」

「っと、あぶねぇだろうが。いきなり立つなよな」


ナルトの腕を引き倒れる反動をシカマル自身で押さえながら抱き寄せ正面から抱き合う様になりナルトは慌てて起き上がろうとしたがそれはシカマルの手によって防がれた


「は、放せ!」

「放したら逃げるだろ?」

「当たり前だ!!」

「なら放さねぇ」


又しても堂々巡りになりそうな会話にナルトはめんどくさそうに溜め息を吐き出し腕の中で大人しくした方が早く解放されるだろうと思ったが、さっきの発作について聞かれるのが目に見えて分かりナルトは眉を寄せた


「なぁ、ナルト。お前さ、いつから人を信じられなくなったんだ?」

「………俺が信じられたのは爺だけだ。」



爺が嘘をついて教え子だった大蛇丸を封印しようとしてるって知ったとき初めて大蛇丸に殺意を抱いた

爺が命を落としてまで封印するならその前に大蛇丸を殺してしまえば爺は死ななかった

けど、爺は俺に手を出さないで欲しいと言い

そして命を落とした

爺はちゃっかり遺書なんか用意してて…俺に、生きろなんて非道な言葉だけ残した


「爺がいない世界なんて居たくない。早く爺の元に行きたい」

親元に戻りたくて駄々をこねる子供の様なそんな言葉にシカマルは二人の中の絆がどれほど強かったのかを嫌でも分かってしまう


「ナルト…お前は今ここに生きてるんだ」


トクン、トクンと互いから聞こえる心臓の音と体温

それは生きていないと感じられないもの

その体温も鼓動も何もかもナルトにとって爺を思い出させる


「生きてくれ」

「………ごめん」


その声に言葉に心が少し揺らいでもそれでも答えは一つ


「俺は爺の元へ行く」


どんな弊害があっても絶対に会って今度こそ悔いが残らない様に守る

それが例えシカマルを裏切ることになろうとも…


それが俺の生きる意味







     -END-

久々のシリアスでしたがどうでしたでしょうか?
シカ→→←ナル→→爺みたいな感じでシカナルじゃ無いのか!と叫んだ人もいたかと思いますが…それは思い付いてしまったから仕方がない
私的には未来での再会まで書きたかったんですが…中途半端で力尽きましたww
さて、気が付いたらもう7月…皆様熱中症にお気を付けてお過ごし下さいませ!


2013.7.12 完成



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