三年間お世話になった学校とも、今日でおさらば。友達とも、大学が違うから、もう会える機会は少ないだろう。

卒業式終了後、みんなでお別れ会や写真撮影をした。私は“大切な話がある”と平助を教室に呼び出し、唐突に別れたいと言った。


「……嘘…だろ…?」

『ううん。…ばいばい。』


これで彼と私はただの同級生に戻る。


「なぁ、何でだよ…。オレ、また何かしちまったのか?」

『ううん。合格おめでとう。京都に行っても元気でね。』


平助の言葉には、明らかな動揺が窺えた。大丈夫、平助は何もしてないよ。私が弱すぎるだけ。




彼が京都の大学に合格した。誰よりも祝ってあげなきゃいけないはずの私の心情は複雑だった。遠距離恋愛は自信がなかったからだ。平助はカッコいいし、性格もいい。女子の告白を受けたことだって何回もある。それに引き換え、私は可愛くないし、性格も素直じゃない。


今までに、平助の浮気を疑って何回も喧嘩した。全て彼の潔白、という形で収まったけど。


いつも半信半疑だった私は、怖かったの。可愛い女の子に囲まれて笑ってる平助。いつか、私だけにしてくれたことをほかの女の子にもするのだろうか。キスや、それ以上のこと。幸せだと思う一方、私の心はどんどん沈んでいった。メールの受信音すら怖くて、電話の内容も、全部信じられなくて。彼の大学合格は、別れるいい機会だったのかもしれない。


「どうしてだよ…なまえ」

『…ごめんなさい。』


全部、私に自信がないから。私が弱いから。結果的に、貴方を傷つけちゃったね。


「っ!なまえ!オレ、京都に行ってもお前のこと忘れないからな!」


背を向けた私に対して、まだこんな優しい言葉をかけてくれる彼を、


何故私は素直に愛せないの?




巻き戻してもう一度キスをしよう
(許されるなら、)
(幸せだったあの時に戻って。)







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