桜の花びら一枚
「そう言えば最近、全く鍛刀してないよなー」
ふと思いついたようにそう呟いのは、ここの本丸の主の和真だった。 刀の力を目覚めさせ、刀剣を従え、過去改変を目論む者と戦う。それを職として生きる者のことを『審神者』と呼ぶ。彼はその審神者だった。 彼が審神者になったのは前の主が亡くなったため、それを引き継いたからであった。 審神者は基本、二種類に分類される。一つは本丸を与えられ、初期刀と共に1から始めるパターン。そしてもう一つが前主が何らかの原因でいなくなった時に引き継ぐパターン。後者の方はそこからまたいくつかに分類される。血縁者内での引き継ぎ、血縁関係なしの引継ぎ、ブラック本丸の引き継ぎ、と沢山あるのだ。 和真は中でも血縁者内での引き継ぎにあたった。亡くなったのは、自分の祖父に当たる人だ。 そのため和真が引き継いた時には、既に刀剣はほぼ揃っていて、彼が全振り揃えるのに時間はあまりかからなかった。
「そりゃー今んとこ全員いるから意味無いしな」
主である和真の呟きに、下手したら1年近く触ってないんじゃねーか?と返したのは獅子王。彼は和真の近侍である太刀だ。
「そうだっけ……じゃあ今頃ホコリかぶってんのかな……」
「……それ危なくね?ウチの鍛刀製造、機械だからもし壊れてたら政府に怒られんの主じゃん」
「うげ。それだけは勘弁してほしい……よし!今すぐ見に行こう」
「今からか!?」
そう決めたらすぐに行動に移してしまうのが和真だった。 そしてそんな彼に呆れながらも付いていくのが獅子王である。
「あれ、主どこ行くのー?」
廊下を歩く主の姿を見つけ声をかけたのは、綺麗な赤い爪紅を塗り直している加州清光だった。彼は本丸内1の愛されたがりだ。 祖父が亡くなり和真が引き継いた時の彼は1位2位を争うほどの厄介者だと言っても過言ではなかっただろう。毎日毎日、前の主───つまり和真の祖父のことを思い出して部屋に引きこもったまま出てこなかったことがある。 今となっては懐かしい思い出に過ぎないが、とにかくあの頃の加州清光の荒れ具合は非常に手がつけられないほど大変だったのだ。
「ホコリまみれだろう鍛刀部屋行ってくる」
「あー、最近使ってなかったもんね」
「お前も行く?」
「え……う、うーん……いいや、遠慮しとく」
鍛刀部屋でなければ恐らく着いてきたのだろう。しばらく考えたあと、断りをいれた加州に「はは、まあホコリで汚れるしだろうし嫌だよな」と苦笑すれば、ごめんねと和真の真似をするように苦笑した。 そんな加州と別れ、獅子王と2人で鍛刀部屋へ向かうが、そこは予想以上にホコリっぽくて、思わず着ている着物の袖で口を押さえてしまうほど。ほんのりとカビの臭いがツンと鼻を刺激した。 2人はこの状況を目にした途端「うわ……」と声を漏らす。獅子王が即座に窓を開けた。
「……近いうちに掃除が必要だな、主」
「おう……とりあえず壊れてないか試すか」
見た目が巨大洗濯機のような刀製造機の上に被っていたホコリをぱぱっと払い除け、蓋を開けて決めた量の資材を入れる。今回は最低限の資源と言うことでALL50だ。 本当に見た目が洗濯機のような刀製造機はボタンまで洗濯機仕様のようで、“鍛刀スタート”と書いてあるボタンがある。和真はそれをピッと押した。筈だったのだが。 音がしただけで、動き出す気配がなかった。あれ、と何度もボタンを押す和真だが、やはり音しか鳴らない。そんな彼に向かって「……政府に怒られんの確定だなこりゃ」と獅子王は呟いた。
「いや、そんな筈はないと思いたい!きっと動く!動け!」
巨大洗濯機の横をバンバン叩く和真。映りの悪い古いテレビのような扱いをし始める和真を止めようとした獅子王だったが、それより早く和真の「くっそ!」という言葉と共にバコン!という大きな音がした。和真が蹴ったのだ。 だが獅子王が怒り出す前に巨大洗濯機型刀製造機はピッと音を立てて動き出した。それを見た和真は「っしゃ動いた!」と1人ガッツポーズを決める。
「まじかよ……ってやっぱ壊れてるってこれ!主コレ見てみろよ!」
獅子王が指さしたのは木の札で作られたタイマー。ALL50でセットしたならば、20分または30分で短刀、40分で脇差のあたりが鍛刀出来るのだが。 そこにはそんな数字はどこにも表示されていなかった。
「……99時間99分99秒?」
「バグってる……完全に壊れてる……」
「やば。岩融でさえ5時間なのに99時間も待てねぇよな」
「そこ!?いや確かに何日もかかる……ってバグだって言ってんだろ!」
「これは手伝い札使うべきだよな」
「聞けよ!」
獅子王の言葉をスルーして手伝い札をセットする和真。獅子王は呆れつつも傍らで見守る。 とても待ち切れる時間ではない時間。99時間と表示されていたタイマーはあっという間に減っていき、すぐに0へと変わる。 早い早い、と和真は改めて手伝い札の凄さに感心しながら製造機の蓋を開けた。2人で中を覗き込めば、見たことのない刀が1本。現れた刀は、淡めの茶色の鞘が艶やかな光を帯びている。 実装について何も知らされていなかった和真は知らない内に増えたか?なんて思いつつも獅子王が取り出したその刀をじっくりと見つめていた。和真がそっと刀に触れる。すると他の刀同様、光を帯び、人の姿へと変わって現れた。
「!!?」
そして───2人して目を見開き、息を飲んだ。その刀から姿を現したのが“刀剣男士”ではなかったからだ。 まるで桜を連想させる様な、儚い雰囲気を醸し出す佇まい。それが和真を捉えた。
「…………ここは……」
高く、弱々しそうな声が部屋に響く。牡丹色の瞳に、雪のように白い肌、淡い茶の髪、そして浅葱色の羽織。 顕現したそれに和真と獅子王は完全に言葉を失い、首を傾げながら顔を見合わせることしか出来なかった。
「……なんで、私はこんな場所に……」
「へ?」
「……私は確か……折れた、はず……」
目を伏せ小さく呟く人物に、2人は再び顔を見合わせた。2人も何がなんだか、分からなかった。理解し難い状況がこの場に沈黙を作り出す。
「はっ?え、ちょっと待て。……なあ、まさか何も知らない?」
「……何も、とは?アナタは一体誰?」
本当に何一つ知らないような表情を見せる人に、まさかここでこの状況について説明しなければいけなくなるとは思いもしなかっただろう。 そして、この存在は政府から新たに実装されたものでもないという結論に至る。 和真は審神者について、政府について、歴史修正主義者について、検非違使について、色々なことを全て簡略化して説明した。
「───なるほど……何となく理解しました。つまり私たち刀剣が過去を変えようとする敵をぶった斬れば良いと」
「ウン、言い方怖いけどそうだな。……ところで聞きそびれたんだけど、名前は?」
「ああ……失礼しました。私は上総介兼重。大切な人に紬と名付けてもらってから、みんなからはずっとそう呼ばれています。……ですから紬と呼んでくださいね、主サマ」
薄く微笑む紬に、和真は「よろしく」と呟いた。そして申し訳なさそうな表情を見せる。
「……えっと、紬?1つ聞きたいんですけど……」
「はい、何でしょう」
「………刀剣男士?」
「正しくは、刀剣“女士”ですね」
「やっぱ女士!?」
「これが男に見えます?」
「すみません見えません!」
和真と獅子王の反応に紬までも驚く。確かに彼女の反応は正しかった。和真たちの反応が普通ではないのだ。 だが紬の返答によって2人はある人物を同時に思い出す。
「ご、ごめん!そうだよな!どう見ても女だよな!な、主!」
「お、おう!……でも俺たち、刀剣は男しかいないって聞かされてたし……女士なんて噂でしか聞いたことなかったからな……」
「それに実際女みたいな格好してる男もいるんだぜ。あ、いや別に格好にとやかく言うつもりはねえんだけど、そう言う個性を持った奴らもいるって話」
「……そうですか。と言うことはお2人以外に他にもいるんですね」
「ああ、沢山いるぜ!……主、俺みんなを広間に集めてくる!」
頼む、と和真の言葉を聞いた獅子王はさっと部屋から出て行った。どうやら集めて、紬の紹介をするようだ。 和真と紬の2人だけになった途端、急に静かになる。紬は黙ったまま、自分の持っていた刀を鞘から半分ほど抜きじっくりと刃を眺めていた。妙な空気がその場を気まずくさせてしまい、和真は何か盛り上がるような話題はないかと彼女を見つめながら密かに探る。
「あ、そういや紬の着てるその羽織ってさ……」
「これは……大切な人の誇り。それと同時に、憎しみを忘れないための自分への当て付けです。お気になさらず」
低くなる声。 綺麗な瞳は傍にあった姿見の鏡に映る自分を睨むようにして見ていた。 そんな彼女の反応を見て、即座に話題の選択を間違えたと冷や汗を垂らす和真。その空気に耐えるに耐えきれず「こんなホコリっぽい場所にいるのもなんだし、みんなの所に行くか。新しい仲間が女士なんてみんな驚くぞ」と笑いかけた。
「仲間……そうですね、」
彼女もそんな和真を見て少しぎこちない笑みを返した。和真の後ろをついていく紬。彼女が悲しそうな瞳をしていたことを、和真は知る由もない。
「みんな!主が早急に広間に集まってくれだってさ!」
そう言って獅子王は刀剣たちを広間に集めたようだった。流石獅子王と言ったところか、仕事はとても速い。ほんの数分前にみんなを集めとくからなと言って出て行ったのに、すぐに準備完了だと戻って来たのだ。 でもその分広間に待たされている刀剣たちは何事だと不思議に思っているのではないだろうか。頭の隅でそんなことを呆然と考えながら、紬は和真と獅子王の2人の後を黙ってついて行っていた。 ほんの少しだけ、妙な胸騒ぎがするのだ。行くべきだという気持ちの反面、行かない方がいいという2つの気持ちが彼女の中にはあった。だが、紬が行かないと断る理由はどこにもない。 廊下を歩くにつれてある部屋から賑やかな声が聞こえてくる。彼女は静かに深呼吸をした。
「あるじさま、どこにいるんでしょうかねぇ」
「そうだよなー、大将が急に集まれだなんて」
「主さっきホコリまみれの鍛刀部屋行ってくるって言ってたけど鍛刀でもしたんじゃない?」
「全振り揃ってるのに鍛刀?……僕は掃除しようとか言われそうな気がするんだけど」
「ホコリまみれの狭い部屋をみんなで掃除か!確かにそれは驚きだな!」
「はっはっは!良きかな良きかな」
会話ははっきりと聞こえないが広間から楽しそうな声が彼女の耳に届いた。 ───私はなぜ、こんなところにいるのだろうか。なぜ、生きているのだろうか。私は確かに刀として死んだはずだ。折れたはずだ。あの人と一緒に、あの人の傍で。 それに、見た目も最後に見た時と随分違う。さっきの場所に置いていた姿鏡を見て気が付いた。身長はもちろん伸びている。でもそれだけではない。それ以前に両目が見え、体中に巻かれていた包帯がないのだ。この姿は、大好きだった彼と長い間過ごしてきた“綺麗な時”の私の姿だった。 私はある事件で修復不可能になるほどの刃こぼれをした。本体が傷付けば、人の姿をしている自分も怪我をするという仕組みだ。その事件で片目を失い、あちこちに包帯を巻いた姿の役に立たない刀は……本当に最後まで。何の役にも、立たなかった。 歩いていた紬はすっと立ち止まり下を向いた。広間はもうすぐそこだと言うのに。
「……あれ、どうかしたか?」
それにいち早く気が付いた獅子王は大丈夫かと紬に近寄る。ハッとした彼女は「……大丈夫です、」と無理やり笑顔を作って見せた。 和真が先程言っていた歴史を守る戦争をしているという話は本当かどうか分からない。だが、紬はそれが嘘だとも思えなかった。 和真の話が本当なら、紬が今この姿でこの場所にいるのも理解が出来る。ただ、刀剣女士がいるなんて聞いたことないと言われたのが少し気掛かりだが。 紬には現状況の把握はし難い。鍛刀されたばかりの彼女は、敵なんて見たこともなければ戦いに出たこともない。口頭で言われても実感が湧かないのだ。 もちろん急に呼び出されて今日から自分が主だと言われたことに、納得できた訳ではない。しかし、そういう状況で顕現された今、どうすることもできないのだから何はともあれ、ここにいるからには従おうじゃないか、とこの現実を受け入れることに決めた。 そして、和真を先頭に彼らは広間の前までやって来た。和真が襖をそろりと開けて「お待たせ☆」と笑う。遅〜い!なんて言葉がちらほら聞こえてきた。
「驚き桃の木山椒の木!な、なんと〜〜〜〜〜〜新入り来ちゃいました!」
「鶴さんみたいだよ主……って言うか新入り?」
「ふっふっふ!見て驚くなよー!」
そして次の瞬間には、襖が全開になった。心の準備をする間もなく、紬の視界に鮮やかな色が映る。 予想以上の数の多さに彼女は驚いてしまい、言おうと決めていた言葉が引っ込んでしまった。 あらかじめ人数を聞いていたらそこまで驚かなかったかも知れないのに。40人くらいだろうか。広間に人の形をした刀がぎっしりだった。
「……紬?」
「っ!?」
聞き覚えのある嫌な声がした。その声を聴いた途端、紬はその方をばっと見る。彼女の瞳と、驚いたように彼女を見ていた青い瞳と目が合った。 ───ああ、嫌だ。まさかこんな所で出会うとは思わなかった。 同じ羽織を着た彼を紬は睨み付ける。その隣にはもう1人見覚えのある顔があった。
「……大和守、安定……」
心が怒りや憎しみで溢れ、そんな感情だけに支配されていく。苦しい、辛い、憎い、嫌い……大嫌い。 気がついたら彼女は、刀を抜いて彼に斬りかかっていた。
「……まさかここで会えるとは」
「僕も……会えるとは思わなかったよ」
キン、と金物が交じり合う音が響いた。紬の一撃を自分の刀で防いだ大和守に、彼女は舌打ちする。周りに座っていた人たちは急いで離れ、何が何だか分かっていないような顔で彼女たちを見ていた。 私は対象相手以外の“仲間”に刃を当てるつもりはない。対象は2人だけかを横目でささっと確認していれば、刃を受け止めていた大和守は笑った。
「……その笑顔、相変わらず憎らしくて腹が立つ。新撰組なんて大っ嫌い。」
「そう言う割に自分は羽織来てるんだ」
「これは平助くんが大切にしていたものだ。それに、これを着てる方が復讐心を忘れずに済むんで、ねっ!」
ガッと大和守を蹴り飛ばす。彼は尻餅をついたまま紬を見た。 こうなってしまった状況を、和真はおろおろしながら見ている。傍では獅子王とへし切長谷部が和真が広間に入って来ないよう、主を守るように立っていた。 今にも怒りが伝わってきそうな程に低い声と、鋭い目つき。さっきまで人の良さそうな態度をとっていた彼女がいきなり大和守を見た瞬間豹変したしたのだ。驚かない筈がなかった。
「はっ、復讐心?復讐も何も、始めに裏切ったのはそっちだろ」
「……は、……アンタ、平助くんが裏切ったとでも言いたいわけ?」
「それ以外に何が?」
憎い、憎い憎い憎い。平助くんは何も悪くない。悪いのは全部……全部全部新撰組だ。何が仲間だ。平助くんの気持ち何も知らないで。 ……っ、死ね!!! そう叫んで刀を振り下ろす。だが、紬のそれは誰かによって塞がれた。
「……ちょっとさ、いい加減にしてくんない?」
さっきの青とは正反対のような色が視界に入る。大和守の前に現れたのは、加州清光だった。 彼も自分の刀を抜いて、紬の刀を防いでいた。彼女は握っている刀に力を込める。
「……邪魔」
「来た途端いきなり抜刀とかホント有り得ないんですけど。」
「アンタたちが裏切らなければこうはならなかったんだ。これは平助くんの仇!」
「……自分が主守れなかったからって俺らに腹いせ?八つ当たりじゃんそれ」
「アンタに何が分かる!主を守れないどころか、それより先に使えなくなったくせに!」
ほんの一瞬、片目が焼けるように熱くなる。 紬のその言葉で加州の表情が強張った。この……!と呟き、刀を横に振る。紬は瞬時にしゃがんでそれを交わし、彼女もまた刀を振るおうとそれを振り上げた。
「いい加減にせぬか」
だがその刀は振り下ろすことなく、誰かに手首を掴まれて動かせなくなってしまう。 紬がぱっと顔を上げ見てみれば、いかにも平安というような青い召し物を着た、美しい顔の男が立っていた。三日月宗近である。彼は紬から刀を取り上げると、反対の手で口元を隠しながら優雅に笑った。彼女は黙ったまま三日月から目を逸らす。
「お前は今のこの状況が分かっておるか?」
どうやら状況の理解はしているようだったが、三日月の問いに彼女は答えなかった。40くらいの沢山の視線が1人の佇んでいる女に集まる。
「お前は新参者だ。立場を弁えるべきではないか?……大和守と加州も刀をしまえ」
「……。……突然の抜刀……申し訳ない」
じっと見つめる三日月に、彼女は素直に謝った。彼の目を見て、彼を敵に回すのは良くないと感じ取ったからだ。三日月はすぐに謝ってきた彼女に少々驚きつつも「今回は許そう。だが次はないぞ。女とて容赦はせんからな」とはっきり告げ、取り上げた刀を返した。それを受け取った彼女は刀を鞘に納め、静かに息を吐く。 こんな場所で嫌いな者と毎日顔を合わせてやっていかなくちゃいけないなんて、相当惨いことだ。そんなことなら……最初からこんな場所に来なければよかった。復讐できるチャンスなんていらなかった。 平助くんの傍で、そのまま眠っていたかった。
「……主サマ」
「な、なんだ?」
急に呼ばれた和真は、今の出来事のせいで少しだけ驚きながら紬を見た。その反応を見た紬は目を伏せ、失笑した。
「申し訳ない」
「……お、おう…」
久しぶりに外の世界を見られた気がした。やっぱり外の景色は、明るくて、綺麗で。今の私の歪んだ心とは真逆でとても眩しかった。 彼女はそう感じながら、和真の方に体を向けた。
「……鍛刀、してくださってありがとうございました」
でも、この場所に生涯を共にしたいと誓った、私の大切な主───平助くんはいない。もうあの大好きな笑顔を見ることは出来ないのだ。 だから、せめて彼の傍に。
「私を……刀解してください。」
元の、あるべき場所に還してほしい。
[ 4/110 ] ←|目次|→
|