エピローグ
「なぁ、あの噂知ってるか?神童先輩と武藤先輩別れたんだってよ!」
「うっそ!マジで!!? あの校内の公認カップルが!?」
「ホントホント。人気でお似合いだったのにな!」
「だよな!…じゃあ俺、武藤先輩狙おっかな〜!!」
「あーダメダメ。無理だよ。何か、1年…何組だったか忘れたけど、狩屋マサキと付き合ってるらしいし」
「え、狩屋と!?」
「おー、サッカー部のな」
……と言う、どこから流れたのか、物凄いスピードで噂が出回り学校ではそのネタで持ち切りだった。
地味に過ごしていた俺は、このお蔭で一気に有名人。実に嬉しくない。
「(…あれたった2日前の話なのに何でこんな速く…)」
俺は自分の机の上に肘を突いたまま溜め息を付いた。
「マ〜サキっ」
「うわぁ!?」
目の前には、にこにこしている紗雪先輩の姿。
「ちょ、いいんですか紗雪先輩…こんなにも噂出回ってるのに堂々としてて…。つーかよくそんなに堂々と出来ますね…」
俺は、周りをきょろきょろと窺いながらそう言った。
「え?あ、ごめん…言っちゃダメだった?」
「発信源まさかの紗雪先輩!!!??」
「ごっ、ごめん!! 嬉しくてつい!!」
何度も謝る先輩にもう別にいいですよと答えると紗雪先輩はまた、ごめんね…と謝った。
「あと、先輩。癖付いちゃってるのか知らないですけど何度も謝るの、やめた方がいいですよ」
「え、あ…うそ…、本当に?」
「はい。付き合う前にも1回言った事あると思いますけど、悪くもないのにすぐ謝ったりしてますねー」
「うぅ、ごめん…直さなきゃ…」
「ほらまた言った」
先輩はぱっと両手で口を抑えながら少し俯いた。俺は少し俯いてる先輩の顔を覗き込み、にこりと笑う。
「俺もその癖を直すの手伝いますよ、紗雪先輩」
「何か…武藤先輩の雰囲気変わったよなー…」
「それ俺も思ったわ。何か…前より、明るくなったって感じ?」
「俺、前よりこっちの武藤先輩の方が好きだわー」
「俺も!なんつーか…俺的にはこっちのカップルっつーか組み合わせの方が好きだな」
「ぶっ、何だそれ!でも分からなくもない!」
「……。」
女子だけではなく、男子までも話し声がデカいとは。俺は喋っている男子の方を見て苦笑していた。照れるからその話やめてほしいまじで。
「…?どうしたの、マサキ…?」
先輩がきょとんとした顔で首を傾げて俺のほうを見ていた
「あー…、何でもないですよ。」
「そう?」
「ほんとほんと。…じゃあ先輩!次から悪くもないのに謝ったら俺にケーキを奢るって言うのはどうですか!」
「えー」
良い案じゃないですか?と笑えば、先輩は頬を膨らませながらどーしよっかなーと呟くも、どこか楽しそうだった。さっきの奴らの言う通り、前とは雰囲気が変わって更に明るくなったように感じられる。
この先、俺たちは色々な壁にぶつかることがあると思うけど。その度に2人で一緒に支えあって、どんな壁でも乗り越えていきたい。そして進んで行きたい。
「…マサキ!」
ちゅっ
「な…!!?」
「ケーキじゃなくてキスは…だめ?」
「っ!?!!?」
先輩。キミと、ずっと一緒にね。
お わ り 。
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