むくたん
「ありがとうございます」
満面の笑みを浮かべながら祝いの言葉を口にした##
『骸さま、お誕生日おめでとうございます』
NAME1##の髪を撫でた。
「こうして誕生日を二人で過ごせるなんて嬉しいですよ」
長く艶のある黒髪を一束掬いそのまま唇を寄せれば薄く染まる頬。
『む、骸さま…///』
「クフフ…どうかしましたか?」
愛しい君
腕の中に閉じ込めた存在を確かめる様に力を込めた。
血塗られた過去に己の存在すら呪った僕が、こうして誕生日を祝う日が来るなんて想像出来ただろうか。
『あの…骸さま……私、誕生日プレゼント用意…したんです……貰ってくれますか…?』
「おやおや、なまえから贈り物なんて初めてですね。もちろん喜んで戴きますよ」
そう言えば、パァ…と顔を明るくさせるなまえ。
僕の腕の中から出てプレゼントを取りに行った事を一瞬寂しく思った自分に苦笑した。
彼女との出会いはこんなにも僕を変えてしまったのか。
『骸さまっこれどうぞ!』
可愛らしくラッピングされた袋を差し出す君に頬が弛む。
「ありがとうございます。すごく嬉しいですよ。開けていいですか?」
受け取って尋ねれば、俯きながらもコクリと頷いた。
『何をあげればいいかすごく迷って…お店で見付けてこれだっ!…って思ったんです』
「なまえの選んでくれた物なら僕にとってどんな物より輝いて見えますよ」
『骸さま…///』
掛けられた赤いリボンを解いて中身を取り出す。
「手袋ですか?…いや、これは…」
『5本指ソックスです♪指先に付いてるパイナップルが可愛くて骸さまにピッタリかなって…』
「そうですか…嬉しくて涙が出そうです……」
『そんなに喜んでもらえるなんて…っ 骸さまには5本指ソックスが合うと思ったんです』
頬を染めて嬉しそうな君に色々な言葉を飲み込んで、今はこの幸せに浸る事にしたのだった。
(5本指ソックス……意外とクセになりそうですね…クフフ……。)
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