■ 06
「一條!この電話受けたのはお前か?」
会社について開口一番部長が私の席にやってきた。
メモには群馬と書かれたメモと、乱丁の文字。
「私…です、たぶん。なにかありましたか?」
キョトンと聞き返した私に部長は顔色を変えて説教をしてきた。
群馬の組合が物凄い怒っているとかで。
事の発端は印刷会社からの乱丁の電話だった。
機会の故障でページがバラバラに印刷されてしまっているけれど、それがどの程度なのかどのくらいの冊数なのか分からない。
配布してから気づいたと。
だから乱丁の問い合わせがきたら、交換するように言われた。
1日の大半を電話応対で過ごす私にとってそのどれが群馬に当たっていたのかも覚えていない。
ただ、雑誌の乱丁の連絡を入れた時に、電話口に出た人…つまり私が、元々乱丁を知っていて隠していた!と、とられてしまったようで、知っていたのになんで言わなかった?
各部署に配布する前に組合で止めることができたのに…
そんなクレームだった。
確かに言ってることは分かるしごもっともだと思う。
一々確認するのは手間暇かかるし、年末のクソ忙しい時に何をやらせるんだって。
だけど、乱丁分が群馬にいっているかはこちらでは何も分からず私達はただひたすら連絡を待つしかできない。
「申し訳ありませんでした」
何度謝っただろうか。
腰、痛い。
ただでさえ、朝から臣の相手をしていた私は腰がぶっ壊れそうで。
そんなに耳が痛くなるくらい怒らなくてもいいのに?
なんて思ってしまうわけで。
「麻利亜先輩大丈夫ですか?」
「うん平気」
「あんなに怒らなくてもいいのに。気にしない方がいいですよ!」
「うん、ありがとう」
…頼むから話しかけないで。
私に構わないでよ。