ギュっとあえて強く握り返す寺辻くん。

あたしよりもずっとずっと背の高いカレは、手を繋いだまま学校の裏にあるコンビニ前に停めてあったバイクまで歩いて行った。

まさかこのバイク…


「乗って！」

「ええっ！？」


むりむりむりむり！！

一歩下がるあたしに不思議顔を飛ばすけど…そんな風に見られても、無理なもんは無理です！！


「ユヅキちゃん？」

「あったし…バイクなんて乗ったことないよぉ…」

「マジ？俺が初めて？」


何故か嬉しそうな寺辻くん。

そういうの今どうでもいいから…


「だから乗れない、寺辻くんの後ろ」


ポソリと呟いた。


「怖い？」

「うん、怖い」

「じゃあ手握っててあげるよ、ユヅキちゃんが怖くなくなるまで！俺安全運転だから信じて？」

「…………」


どうしよう…

もしもよ、もしもちゃんと哲也くんに告白していたとして、哲也くんがバイクに乗せてくれるって言ったら…？


「テッ…み、みんなも乗ってるの？チームのみんなも…」

「ん？みんなってあいつら？」

「そう…」

「全員乗ってるよ？あんまし女は乗せないけど…。俺等基本移動はこいつだから」


こいつってバイクの椅子をポンって軽く叩く寺辻くんの瞳は優しい。


「本当に怖くない？」

「うん、絶対に！」

「…うん、分かった」

「よし！！」


そう言うと、あたしの腰に手を当ててそのままふわっと抱き上げられてバイクの後部座席に乗っけられた。

キャアって悲鳴をあげる暇もないくらいにスッと乗せられて…

何より男子に抱き上げられたことすら初めてのあたしはただ胸がドキドキしてしまった。

あたしの前に座った寺辻くん、後ろを振り返るとあたしの手を引き寄せて自分の腰に巻きつけた。

一気に距離が縮まって、心拍数急上昇！！

なにこれ、ヤバイ！！

密着しすぎてるっ！！


「じゃ行くよ」

「えっ、待っ…」


ブオオオオオオンッ！！

あたしの声はエンジン音にかき消されて、「大丈夫だから」そんな寺辻くんの声と同時、腰に巻いたあたしの手の上に寺辻くんの手がそっと重なった。

ドキン！！


「あ、スカート絶対ヒラヒラさせないでね、見せもんじゃねぇから！」


そんな忠告にさえ、ドキドキしてしまうなんて。


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