心の声




ゆきみの説明によると、ゆきみの恋人の直人くんと剛典くんは同じ大学らしくて、ダンスが好きって共通点がら仲もよいらしい。




「岩田くん最近気になる子ができたっぽいって直人が言ってたんだけど…まさかのナナちゃんだったなんて、運命だ!!」




嬉しそうに笑うゆきみに、つられて私までニンマリしてしまう。




「別にオレら出る幕ないじゃんね、ゆきみ」

「うんうん、何を迷ってるの?」




枝豆を吃驚するくらいの速さで食べるゆきみに何となく苦笑いを返す。


言ってもいいんだろうか、こんなこと…。




『ゆきみと直人くんって何歳離れてんの?』




私の言葉にニッコリ微笑むゆきみ。


何だかその顔は全てを超えてきた…とでも言うように見えて。


もしかしたら?私が考えてるようなことを本当に超えてきたのかもしれないって。


そこに答えがあるのかもしれないって。




「8歳。わたしナナちゃんの気持ちだいたい分かる」

『え?』

「年齢離れすぎだし、からかわれてるんじゃないかって思うし、うまくいくわけないって。自分より若くて可愛い子のが合ってるって思うし…――――。わたしも直人から何度も離れようと思ったけど、その度にできなくて…。今は直人無しじゃ無理だって思えるくらい…」

『…どうして直人くんを選んだの?』

「どうしてかな…ウサでもあっちゃんでもダメで、直人じゃないとダメだった。理由なんて分からないけど、ナナちゃんの中にある迷いって何?」




ゆきみに聞かれて思うのは…―――今ほどゆきみが言ったことと何も変わらない。




『本気になってもうまくいくわけないし、私大人だし…剛典くんはモテルだろうし、遊ばれるだけなら好きにならない方がいいって…』

「アウト!!」




ピシっとゆきみにオデコを叩かれた。


ゆきみの隣のマツさんはもう私に興味すらないような顔で一人ワインを開け始めた。




『ちょ、ゆきみ?』

「もう好きになってるよナナちゃん!だから悩んでるんでしょ?どうしようって…。大丈夫だと思うよ、素直に飛び込んでも!!岩田くんとそんなに親しいわけじゃないけど、直人に聞く話だと本気だと思う。歳が気になる?それってそんなに必要?岩田くんと一緒にいる時のナナちゃんが本物なんじゃないの?」




ジワリと胸が熱くなった。




心の声

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