俺の興味
目を閉じて美月の唇を舐めながら強く抱きしめる。
小せぇ美月を抱き上げるように腰に力を込めると「ンッ…」甘い声が漏れた。
俺の腕に捕まってる美月の足がプルプルしてるのが分かったけど、キスを止められなくて。
さらに強く抱き上げて美月の空いた隙間に舌を差し込む俺にまた小さく甘い声が漏れる。
柔らかい美月の舌は感じたことないくらいの快感で、胸の奥がキュッと掴まれた様な感じだった。
「ンッ…臣ぃっ」
舌がほんの一瞬離れた瞬間、苦しそうな美月の声に、ゆっくりと名残惜しくキスを止めた。
俺を見つめる瞳はトロンとしていて。
真っ赤な顔で小さく呟いたんだ。
「嬉しい…」
ドクッと俺の心臓が高鳴る。
赤い頬で上目遣いで、これっていわゆる典型的な女の仕草で。
今まで特に感じたことのないこの感覚に戸惑ってるのは俺自身で。
「やば。マジで足りねぇ…」
「臣くん…」
「俺と…つ、」
「おまえらあ――――――――!!!!」
歩道橋の下、こっちに向かって来る直ちゃんを店長が止めていて。
「直ちゃん、恥ずかしい…」
「キスは恥ずかしくねぇの?」
「えっ!?あ、そっか…もう。恥ずかしいよー」
「その照れ屋なのって兄貴もだなぁ。ムウってしてる顔も何かちょっと似てる。すげぇ大好きなんだなぁ、美月のこと」
まだ叫んでる直ちゃんに向かってペコっと頭を下げる俺は美月の手を握って歩道橋を歩き始める。
「うーん。うち親共働きでほとんど直ちゃんとてっちゃんとゆきみさんに育てられたようなもんだから。てっちゃんとゆきみさんが付き合った時は少し寂しくて。でも直ちゃんがゆきみさんのこと好きだってそれで気づいて。あんなバカみたいだけど、凄かったんだよ、奪略愛…。てっちゃんには申し訳ないなって思うけど、あたしはゆきみさんが本当にお姉さんになってくれてすごく嬉しいの」
美月が話しながら俺の手をキュッキュッ握っていて。
まぁマジで嬉しかったんだろーなって思った。
「へぇ。あの兄貴がねぇ!それはそれで聞きたい気もするけど…」
振り返った俺は美月の柔らかい頬をムニュって優しく抓る。
「今は美月だけ、興味があんの」
カァーっとなる美月をクイッとちょっと強めに引っ張ると俺に巻き付くようにギュッとした。