04
そんなことを言いながらもしっかりと紙を受け取った隆二くんはやっぱり優しいんだって。
「他にもいっぱい来てたよ、隆二くんにチョコ持って…」
なんとなくブスっと言う私を見てにっこりスマイルを飛ばす隆二くん。
「有難いっすね…」
「モテモテだね」
嫌みっぽく言っちゃって。
今日は素直になるって朝から決めて出てきたというのに、こんな現実を突き付けられて素直になるのはやっぱり私には無理なのかもしれない。
俯いて唇を噛み締める私に「ユヅキさんからは?」そんな質問が飛んできた。
えっ!?って、顔をあげた私に…
「自分、ユヅキさんからのが欲しいです」
――――甘い誘惑。
目の前の隆二くんは至って真剣。
じつはあるの!
持ってくるから待っててくれる?
そう頭の中では言えてるのに、実際口に出た言葉は全く可愛げの無い言葉で。
「あっちに置いてあるよ、みんなと同じ義理チョコが。好きなだけ食べてね」
くるりと隆二くんに背を向けて給湯室を出た。
思いっきり溜息をつく。
最悪。
何でそんな言葉しか言えないの。
自分の馬鹿さ加減に泣きそうになる。
馬鹿を通り越して弱いだけだ。
傷つくのが怖いだけなんだ。
素直に隆二くんに本命チョコを渡してフラれるのが怖くて好きじゃないフリして…
これじゃ女子高生にも勝てない。
でも、言えない。
今更「すき」なんて、とても言えないよ。
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