03

一体いつどこであんなギャルみたいな女子高生と出会ったんだろうか、隆二くんは。

今まで彼のプライベートを見ないようにしていたせいか、もしかしたらやっぱり彼女がいて、今日も隆二くんの帰りを待っているのかもしれない。

さすがに女子高生が相手だとは思わないけど、それなりに彼女がちゃんといる確率は極めて高い。

あぁ私ってば一年も前からずっと好きだったくせに、もたもたしていたから、誰かにとられてもおかしくないだろうし。

そもそもここに来る前から彼女がいたとしてもおかしくない。

むしろそう考える方が正しいのかもしれない。

そう思ったからだろうか――――――


隆二くん達が現場から戻る時間を見計らってこのドアを叩く女が後を立たない。

本当にそろそろ隆二くんが帰ってくると思われる時間がゆえに、さっきから私の心臓は色んな意味でドキドキしっぱなしだった。

そんな私のもとに車が止まる音が聞こえたのは、数組の女を返して10分もたたないうちで。


「ただいま戻りました」


礼儀正しく一例して事務所に入ってきた隆二くんを見て少々複雑な気持ちになった。


「お帰りさない!隆二くんあの…」

「ユヅキさんお疲れ様です」


かしこまって隆二くんの腕を引いて事務所の奥にある給湯室へと連れていく。


「隆二くん宛に女のお客さんがいっぱい来てたよ」


そう言って私は女子高生に渡されたLINEのIDが書かれた紙を差し出した。

キョトンと紙と私を交互に見る隆二くん。


「えこれユヅキさんの?」

「違う!私じゃなくて。今日Valentineだから、隆二くんにチョコ渡そうと持ってきたんだと思う…S女の制服だったけど知ってるんでしょ?」

「S女…?前に現場で行った時かなぁ…たはは覚えてないや。ユヅキさんだと思っちゃいましたよ」


私だったら喜んでくれたの?

そんな疑問が脳内で回っていて。



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