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「うわぁ――すげぇうまそう!」
目を細めて嬉しそうにそう言う隆二くん。
スマホカメラでカシャンってそれを撮った後、視線をチラリと私に向けた。
「一緒に撮ろっかユヅキさん」
そう言うと、向いにいた隆二くんはスッと私の隣に来てググっと肩を抱いた。
そのままインカメラにして「いくよ」そう言うとまた肩に置いた手に力が込められた。
カシャンって音がして隆二くんのスマホに私との写真が保存される。
「もう一枚…」
そう言って隆二くんは視線だけで私を引き寄せるかの如くジッと見つめて…ゆっくりとその顔を寄せて…チュって小さく唇が重なった時、カシャンってもう一度カメラの音が鳴った。
「あ、やばいこれ…超お似合いすぎる!でもこんなキス顔のユヅキさんは絶対に誰にも見せないから…。俺だけだからね、この顔見ていいの!」
自分で言いながらムウって唇を尖らせているちょっと子供じみた隆二くんが最高に可愛くて。
一緒にいるだけでどれだけ私をキュンキュンさせてくれるんだろうって。
ただの会話の中にも愛が溢れている隆二くんが愛おしくてたまらないんだ。
「隆二くんもね」
だからそう言うと「神に誓って」そう胸に手を当てて言うんだ。
「あは。信じます!じゃ食べよ」
「うん!」
そう言った隆二くんは、そのままスマホの電源を切った。
「誰にも邪魔されたくないから」
そう言って私の作ったオムライスを一口パクリと食べて。
「うっま!…ユヅキさんとこいつどっちがうまいかなぁ〜」
髭を指で触りながらそんな言葉。
隆二くんが言うと、下系の言葉でも何だか甘ったるく聞こえちゃうわけで。
「デザートってことで…」
つい調子にのってそう言うと、「デザート最高!」なんて大口開けて笑うんだ。
「でも、先に風呂…入りたいよね?」
「うんできれば…」
「じゃあ俺腹筋して待ってるから」
「…う、ん」
苦笑いする私の頭をポンポンって軽く叩いて。
そのまま私の髪をフワリと撫でてその指を頬で止めて私のことをずっと触っている。
この距離にドキドキしているのは確かで。
まさか隆二くんとこんな風になるなんてって嬉しさの反面緊張も半端ない。
「俺これ毎日食いたいなぁ〜マジで」
「毎日作りたいなぁ〜私も」
「…言うね?」
「言わせたよね?」
「とりあえず、明日色々考えよう?今日は俺さっきからピンクなことで頭がいっぱいだから…」
隆二くんの言葉に二人でクスリと笑い合った。
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