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自分の胸元についたであろうキスマークをそっと指でなぞってみる。
こんなのいつぶりってくらいの出来事で。
学生のころの彼氏にはよくつけられたっけな…なんてクスっと笑ったら隆二くんの視線が飛んできた。
少し長めの黒髪の下から覗く形のいいオデコに手を添えると、私のその手を逆に握られてそこに甘いキスを落とす。
「ユヅキさんしか目に入らないよ…もう」
甘い声で甘い言葉をくれちゃう隆二くんを甘えたい気持ちで見つめるとニコって微笑み返してくれる。
「オムライス作らないと…隆二くん」
「あ、上にケチャップで隆二愛してるって書いて!写メ撮って待ち受けにするから!」
急に子供みたいにそう言って、ほんの少し私達の距離が離れた。
「うまく書けるかな…」
「俺を愛してるなら書けるって」
「また〜そういうことを…」
「え、違うの?」
「違わないけど…」
「けど?」
キョトンって顔で。
面と向ってストレートに言葉を繋げられてドキンとしてしまうのは仕方のないことで。
愛だの恋だので騒ぐ年でもないけれど、気持ちを想いを伝えることは大事なことだって、隆二くんを見ていたら自然とそんな気持ちになっているんだ。
今日だけじゃなくて、いつも素直でいられたらいいな〜なんて。
「隆二くんはどうなの?」
「え?俺?」
「そう」
ピシって隆二くんのスッと通った鼻を指で指す。
ニッコリ微笑んで「言わせるんだ?」なんて言って。
「言わせたいもの」
私がそう言うと、また顔を近づけて「愛してるよユヅキさん」そう言ってまた唇を重ね合わせる…―――
正直このままここで…って。
それでも構わないって思うけど…ふいに隆二くんが腕の中から私を離して「ダメだ、マジでこれじゃ何もできない」そう言うと小さく息を吐きだして私をようやく解放したんだ。
「風呂、見てくる」
「あ、うん!ごゆっくりね」
「ごめんね作らせちゃって」
「いいよ。愛してるから」
笑いながら言う私に、思わず戻ってきそうになった隆二くんに手を振る。
困ったように眉毛を動かしたものの真っ白な歯を見せて「すぐ戻るね」そう言ってお風呂場へと入って行った。
いなくなったのを確認してから思わず自分の頬に手を宛てた。
熱くて、きっと紅くなっているに違いないって思う。
リビングに立てかけてあった鏡に映った自分は、思った以上にニヤけていて、ふと目がさっきつけられたキスマークを見つける…。
鼓動がいっそう早まった。
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