哲也のお仕置き
「おいおい、俺を忘れんなって!」
剛典の一件でご飯も行かずに帰ってきたわけで。
喧嘩して疲れた啓司はソファーで寝てるのかと思ったからそのまま臣と二人で出てきたら慌てて啓司がついてきた。
「啓司何食べたい?」
「俺チキン南蛮!」
啓司の言葉に臣と二人顔を見合わせて「また〜?」って声を出した。
事務所の駐車場まで行くと、絶対に私たちの方が先に出たはずなのに、何故かそこにはアキラがいて。
なんならマンションを案内しているはずの哲也と剛典もいて。
「今日はみんなで食おうぜ!剛典の歓迎会だ!」
そう言ってアキラが臣の運転を止めた。
「ラッキー今日酒飲める!」
嬉しそうに笑う臣は先頭でアキラと二人大好きなサッカーの話に夢中で。
私は哲也に手を取られて隣を歩く。
外を歩く時のお約束。
私達は行動は常に二人一緒で。
いつどんな時でも私は誰かの恋人として振舞う。
長い髪もカツラで。
軽い変装を心がけているんだった。
「一応調べるからね、ちゃんと」
「え?」
「剛典くん。どうせユヅキが拾ったんでしょ?」
やっぱりお見通しの哲也に苦笑いしか返せなくて。
呆れたような、でも諦めたような顔で哲也が「全くうちのお姫様は目が離せないんだから…」そう言って腕を腰に回すと私の耳をパクっと唇で挟んで舐めた。
「ギャッ!!」
慌てて哲也から離れようとするけど、腕をホールドされてちっとも動けない。
細く見えても哲也の身体はキレキレで…。
「ごめんっててっちゃん…許してぇえ…」
「許さない!」
「うう…」
「泣き真似しても無駄だぞ」
冷たい声が届くけど、私を見つめるその瞳には怒りはカケラもなくって。
哲也の腕を掴んで背伸びをした私は、そのまま耳をパクっとかじったんだ。
「舐めてそのまま」
…言われるがまま哲也の耳にニュルっと舌を差し込んで周りを舐めると「あ―――」哲也の私を抱く腕に力が入ってそんな甘声。
そんな声を出させているのが自分だと思うと超恥ずかしいけど、哲也の腕はなかなか緩まなくて…。
後ろを歩く啓司と剛典が面白ろ可笑しいって顔で通りすぎた頃、やっと哲也の腕から解放された。