照れ屋


私から顔を近づけると、臣の腕が後頭部に回されてガッチリと固定される。

コツってオデコをくっつける私に、間もなく目を閉じようとしていた臣がカっと目を見開いた。


「いやいや違げぇし…」


キス待ちだった臣が怒るのは当然で。

クスって笑った瞬間、後頭部にあった臣の腕がグイっと私の顔を引き寄せて、至近距離にあったその顔を近づけると同時に勢いよく重なり合う唇…―――。

臣の足が私をホールドして離さなくて。

ハムって食べるみたいに唇を動かす臣のキスはわりと気持ちいい。

角度を変えてチュってリップ音を響かせてキスを繰り返す私と臣。

最初は舌を入れてこない臣と、哲也のキスとは大違い。

それでも数回ハムってるうちに、ほんの一瞬臣が舌を出して私の唇を舐めた。

柵に座っている臣と、その臣にホールドされて立っている私。

その身長差はあまりないものの、私の方が今に限って背が高い。

臣の頭を抱えるみたいに抱きつく私の腰を撫でていた臣の手が私のお尻を厭らしく撫でまわし始めた。

あえて気付かないフリでキスを繰り返す私に、ようやく臣が少し遠慮がちに舌を私の中に入れてくる。

一瞬目を開けると、既に目を開けていたんだろうか、臣と目が合う。


「舌…」


真剣な顔で一言そう言われて、私は小さく舌を出すとそこにチュって自分の舌を絡ませる。

そのままお尻を撫でてキスを深める臣…

気持ちいい…―――


「臣っ…」


思わず漏れた声にほんの一瞬臣の舌が動きを止めた。

薄ら目を開けると、スッと臣の舌が私の中から出ていって。


「臣?」

「ちょっとそんな厭らしい声出さないでよ…」


そう言って口に手を宛てて真っ赤な顔で目を逸らした。

あれれ…照れてる!?

まさかの、…―――想像どおりの反応で。


「だって気持ちよかったよ?」

「当たり前だろぉ…」


何故かムウって唇を突き出している臣が何か可愛い。

やっぱりチェリーなんじゃないかな〜?って思っちゃうんだけどなぁ。


「よし、じゃあ帰る?アイスも溶けそうだし…」

「やだ。足りない。もっとしたい…」


子供みたいに駄々をこねる臣が可笑しくって。

頭をフワっと撫でたらやっぱり上目使いで私を見てくる。

泣きそうな顔でクウ〜ンって鳴きそうな潤んだ瞳で見つめられて…。


「てっちゃんがいいって言ったら一緒に寝る?」

「うん!よし、帰ろう!交渉、交渉!哲也さんの為に俺、パピコ2本買っといてよかったわ!」


俄然やる気を取り戻した臣が私を足の間から離すと、そのまま手を繋いで月夜道をマイホームに向って歩き出した。



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