ヤンキー金山とパシリくん

ヤンキー金山のパシリくんと友達続編



(side:金山)

 クソ怠い四限の授業が終わり、俺は立ち上がる。後ろでガタリと音がして、そっちを見ると眼鏡が席を立っていた。

「テメェはそこで待ってろ」

 でも、と言いそうな顔をしたが、眼鏡は何も言わずただ頷いた。俺は奴から視線を外し、あのクソ野郎のところへ行こうと、ドアへ足を向けた。視界に入る屑どもが俺と視線を合わせないように俯いている。暴れたい衝動を抑えながら、教室を出た。












 クソ野郎は、教室の外へ出ていた。くい、と後ろを親指で指しながら、笑みを浮かべる。「ついて来いよ」
 俺は、こいつのこの顔が嫌いだ。何でも知ってますというような、何もかも見透かしていそうな、この顔が。殴りたくなる。俺が人を殴りたくなるのはいつものことだが、こいつは特に。しかし、俺はこいつを殴れない。それをこいつも分かっているのだろう。そこがまた腹立たしい。
 場所を変えることに異論はない。こんなところで話すことの方が嫌だからな。無言で付いて行くと、奴は意味深に笑った。うぜえ。イライラしてきてそこらへんのものを片っ端っから蹴飛ばしたい衝動に駆られた。だがそんなことをしてみろ。こいつは馬鹿にしたように笑いながら、あいつの話を持ち出すだろう。……達也が、と。うぜえな。何でぽっと出のテメェなんかが俺のパシリの名前を気安く呼んでんだ。


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