22

 最後に見たあの冷たい目が頭から離れない。そのせいで授業にまったく集中できなかった。授業が終わり、俺は慌てて山口のところへ行った。ドアから一番近い席にいた奴に声をかけると、ぎくりと強張らせた顔で俺を見る。そして山口を呼びに行く。そいつに話しかけられてこっちを見る。俺が来ることを予想していたような顔だった。
 山口は俺が声をかけた奴に何か言って、こっちへ来る。

「よっ」
「よっじゃない!」
「お? やっぱり金山怒ってた?」

 「怒ってた…」俺は眉を下げて、溜息混じりの声で答える。そんな俺に苦笑を浮かべた山口が、俺の頭へ手を伸ばす。しかしそれは頭へ届かなかった。後ろから首根っこを掴まれ、思い切り引っ張られたからである。

「ぐえっ」

 蛙が潰れたような声が出た。息が苦しくて涙が出る。ちらりと山口を見上げると、目を細めて笑っていた。俺の首根っこを掴んでいる人物は、後ろを振り向かずとも分かった。

「テメェ…俺の言ったこと守る気ねえだろ」

 謝罪をしようにも、言葉を発することができない状態だ。山口は肩を竦めた。「放してやれば? 苦しそうだけど」

 後ろで舌打ちの音がした。そして解放される。急に酸素が入ってきたことで咽た。

「…戻んぞ」
「え、あ、でも…」
「あ?」

 睨まれ、何も言えなくなる。まだ話したいことがあったが、仕方ない。まあ休み時間もあんまりないし…メール送るか。教室に戻ろうとした金山に付いて行こうとすると、山口が金山に声をかけた。

「金山。昼休み、またここに来いよ。ちょっと話そうぜ」

 ぴたりと金山の足が止まる。振り返って、俺を一瞥する。

「…こいつは」
「いてほしいんなら一緒でいいけど? いない方が話しやすいと思うけどな」

 金山は無言ポケットに手を突っ込んで歩き出す。俺は一度山口を見て、教室へ戻った。











fin.

次が最後かな?長くならないようにします!

達也(たつや)

パシリくん。
友達ができてうれしいけど最近ちょっと胃が痛い。

金山(かねやま)

相変わらず素直じゃない。
達也に対しては優しいらしい。

山口 渉(やまぐち わたる)

楽しいことが好きな見た目爽やかくん。
結構友達思い。

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