修行とは、姿形のほとんど変わらない刀剣男士に変化を及ぼす唯一の手段である。

いやまぁ、もちろん装束を替えりゃ見てくれは変わるが。
だが、刀剣男士という存在が持って生まれたさだめって奴を考えてみれば、姿形が変わらないのは納得がいく。
そもそも歴史と時間の積み重ねから生まれた自分らの姿が揺らぐこと、それ自体が間違いであると言っても過言ではないのかもしれない。歴史の証人である刀から生まれた刀剣男士が不変であることは、少なからず歴史が正しく守られ続けていることの一種の証であるともいえるのではないか。
歴史とは礎である。決して揺らいではいけない。
だからこそ、唯一見目の変わる手段である修行は政府により制度化され、審神者の手で徹底的に管理されている。
前の主との接触など、平時であれば慎重に取るべき行動をあくまで推奨する制度。
つまりは、身体を得てからの日々の中で習得したてめえ自身の胆力、立ち回りの器用さ、そして何より審神者との相互の信頼関係がなければ、この制度は成り立たないのである。



「なーに、わしもおんしの本気に応えようとしたまでじゃ。一緒に世界、掴むぜよ!」

肩から羽織った軍服を厳めしくはためかせながら、陸奥守は主の目を真っ正面から見据えた。
季節外れの桜が舞う中でかけられた勇ましい言葉に、主は大層嬉しげに相好を崩していた。

「おっ、次は不動の番じゃな?」
「うん」

陸奥守は、旅装束を身に纏った不動の姿に目を留め、それから互いに何やら意味ありげに頷き合った。
奴らなりの何かを確かめるような動作だったが、その意味は分からなかった。互いにしか分からぬ何かがあるのだろう、詮索するのは野暮だという自分の直感を信じ、口は挟まないことにする。

「ほんで、不動の見送りは、主と近侍の山姥切とー……日本号かや?」

ぞろぞろ並び立つ連中の顔を順に見回していく陸奥守と目が合い、軽く頷いた。

「ああ、不動から直々にご指名があったんでな」
「ほうか、賑やかな見送りじゃの、ええことじゃ」

言いながら、陸奥守は所在なさげにしている不動に歩み寄るなり「ほれ!」と明るく声を上げ、丸まった背中を威勢よく叩いた。
よた、とほとんどつんのめるようにして前に出た不動と、陸奥守の立ち位置が入れ替わる。
旅立つ側と、見送る側の立ち位置。
体勢を立て直した不動は、ずり落ちた笠を押し上げながら「何すんだ」とでも言いたげに唇を尖らせ、こちらを振り返った。

「不動、帰ってきたら手合わせしとうせ!」
「……別に、いいけどよ」

あくまで明るく言われた不動は「帰ってきたら」という陸奥守の言葉を、その感触を確かめるように小さくなぞった。

不動は、これから自分がどこへ向かうのか分かっているのだろう。
だからこそ、ここで得たものの感触や温度を忘れずに持っていこうとしている。正しくここへ戻ってくるための道筋を見失わないための標を、違わず覚えていこうとしているのかもしれなかった。

「不動」

呼びかけると、俯きがちだった不動の目がおずおずとこちらを向いた。
分かりやすくシュンとしている不動の頭を笠越しにぐりぐり撫でくり回してやると、驚いた猫みたいな声を上げた。

「うわっ、何なに号ちゃん!」
「不動〜酒はほどほどにしろよ〜」
「わ、分かったよぉ、分かったから」

不動は、自分の頭をぐちゃぐちゃにしている手を半笑いで押し退けようとしている。

「日本号が言うとブーメランだな」
「うるせーな」

山姥切があくまで冷静にツッコむのを一言で一蹴して、不動の頭から手を引く。
眉を八の字にしながら、それでも目元を柔らかくした不動の顔からは、ある程度緊張が解けていた。
笠越しに見上げる不動の目を見据え、改めて口を開く。

「なぁ不動。この本丸には間違いなく、お前が必要だよ」

言ってやらねばならないと、ずっと思っていたことだ。
どれだけ自分を卑下したって、それでもお前はちゃんと生きてきた。
手を抜くことはあったかもしれない、酒に溺れることもあったかもしれない。前の主を恋しく思って、苦しんだこともあったかもしれない。
それでも、お前はここで日々を生きてきた。押し潰されないでやってきた。
それを他人事とせず、嬉しいと思っている奴が、多分ここにはたくさんいる。

「必要……そう、かな……」
「そうだよ」

なおも不安げにしている不動に、応えたのは主だった。

「不動くん」

主は不動の片方の手を両手で掬い上げて、何にも変えがたい宝物でも扱うみたいに柔らかく包み込んだ。

「美味しい甘酒買って待ってるから」

不動は、息が止まったみたいな顔で目を見開いている。

「だから、道中気をつけて」

笠の中を覗き込むようにして、主は柔らかく微笑みながら不動と目線を合わせる。
不動は唇を固く噛み、その視線を避けるように俯いたが、それでも主に握られた手を一度、しっかりと握り返してやっていた。

どちらともなく離した手が、ゆっくりと遠のいていく。
不動は笠で顔を隠すようにしながら「いってきます」と、聞こえるか聞こえないかの声を絞り出し、ためらいがちに背を向けた。

「いってらっしゃい」

主がまっすぐに投げかけた言葉に、不動はほんの少しだけ振り返った。
それから小さく頭を下げたようにも見える仕草を残し、不動は旅立っていった。

不動の手を握っていた手のひらに、無言で視線を落とす主に声をかける。

「不安か?」
「いえ」

主は静かに目を伏せ、首を横に振った。

「不動くんが顕現した時、同じように手を取ったんです。よろしくって」
「へえ」
「その時は、一旦は握り返してくれて、でも振り解かれてしまって……」
「ああ、わしも覚えちゅうよ」

陸奥守が感慨深げに深く頷く。
主が来たばかりの頃、そうだ。つまりは、ずっと陸奥守が近侍として主のそばにいた時期のことだ。

「でも、今日はそうはならなかった」

主は照れ臭そうに顔を深く伏せ、けれどすぐにぱっと顔を上げた。

「だから、大丈夫なんじゃないかって。正直不安はあったんですけど……でも、大丈夫だって、他でもない不動くんが思わせてくれました」

嬉しげに頬を火照らせた主の目がこちらに向いて、自然に目元が緩まる。
な、言った通りだ、不動。
この本丸にも、主にも、お前は必要なんだよ。
不動の去っていったほうを見やり、胸の内で、誰に言うでもなく語りかけた。

あいつが帰ってきたら、うまい酒でも飲ませてやるか。



その晩、陸奥守の帰還祝いの席が設けられた。

卓上に乗っていたマグロの刺身やら何やらが順調に減っていき、各々酒も進んできた頃。
日本号は杯を片手に、賑わう広間を静かに抜け出て、掃き出しの窓が開け放たれた回廊から外に足を投げ出すようにして、そこに腰掛けた。

「日本号〜、ほれ! 主が買うてくれた土佐産のゆずの酒じゃ! 飲まんかや?」
「お、いいねぇ。もらおうか」

うきうきした声色を隠そうともしない陸奥守から酌を受ける。

「冷えちゅうからそのまんまイケるぜよ!」
「へえ」

杯を傾けると、ひんやりと新鮮なゆずの香りが口の中に広がった。甘みは抑えられていて、炭酸で割っても美味いだろうなと頭の隅で思った。

「なぁ、陸奥守」
「ん?」
「修行、どんなもんだった」

おそらく散々聞かれたであろう問いかけに、陸奥守は迷うことなく一言「龍馬はでっかい男じゃった」と返した。

「やっぱり龍馬が好きじゃと思うた。それと同時にの、主のことも好きじゃと思うた」

真面目な顔で語っていた顔が数秒フリーズし、かと思うと急にぱっと明るくなり、何か弁解でもするみたいに手のひらをこちらに向けた。

「あ、好きいうがはラブやなくてライクのほうやきの!」
「わ〜ってるわ」

いらん弁解をしっし、と手で払い除け、話の先を催促した。

「ん。ほいでな、歴史を守るいうがは、わしが惚れた龍馬の生き様を守るいうことじゃ。つまり、これからも主と共に走り続ければ、龍馬も主も」

一旦言葉を切った陸奥守は、グラスに半分残っていた酒を一気に飲み干し、

「両方ともを愛せる」

と清々しく言い切った。
ついこの間、和泉守といがみ合っていた陸奥守吉行の幼さは、もう残っていないようだった。

「そうか……」
「うん、修行いうからにはもっと……打ち合いでもするがやろうか思うたが、違うた。けんど、わしはそれで良かったと思うちょる。人と、言葉を交わしてこそじゃったと思うちょる」

戦うために人の身を得た武具の付喪神が、より強くなるために人と対話をするというのも、考えてみればおかしな話ではある。だというのに、目の前の男からはそうした矛盾を一切感じない。
不思議だ。

だが、多分そうなんだろうなぁと思う。
戦うために身を得て、ついでに思考を巡らす力も、傷つき、喜ぶための心も手に入れてしまった俺たちが、一つ前へ進むためには、結局そこに行き着いてしまうのかもしれない。
もし、仮にだが。「戦のために」と刀剣男士を生み出した政府にとって、俺たちが持ってしまった「心」が誤算だったのだとしたら、この修行という制度はその誤算の穴埋めであり、温情なのかもしれない。あくまで推測の域を出ないが。

そこまで一気に考えが巡って、思わず深いため息が口をついた。

「なぁ、陸奥守」
「ん? なんじゃ?」
「ちっと、話してもいいか」

今から話すことは、酔っ払いの独り言として聞き流してくれても構わない。



酷い悪夢を見たことがある。

基本夢見はいいほうなもんで、外面で落ち着いて見せてはいたものの、多分それだけ動揺していたのだと思う。

前任が倒れて病院に運ばれた、その晩のことだった。
置いていかれた刀どもは大体が落ち着かない様子でいたが、「主不在の間に何事かあればそれこそ主が戻られた時に申し訳が立たん」と長谷部が言うのに皆しぶしぶ頷き、それぞれ兄の布団に潜り込むなり風呂に入るなりしてなんとか体を休めようとしていた。
さて、じゃあ自分はどうするかと考えた時に、やっぱり頼ったのは酒だった。

酒が悪かったわけじゃあない。
ただ、倒れ伏した主の手の冷たさを覚えている手で酌をした熱燗が、胃や頭の中で濁流になった。タチの悪い吐き気を抱えたまま床につき、泥に沈むように眠りに落ちたのが良くなかったのだろうな、とは思う。

ふと気がつくと、目の前に灰色の海原が広がる砂浜に立っていた。
なんでか主もいた。
ほとんど意識がないらしい主を、肩を貸すようにして支えながら、ここはどこだと考えた。俺は一体、何をしているんだ。

今にも世界が終わりそうな、冬の海岸だった。
空を埋め尽くす灰色の雲は、下界に雪崩れ込むように低いところにあった。
後ろを振り返ると、なだらかな草原の丘がある。地平線に湧く雲に、時折青白い光が走っている。地響きのような遠雷が聞こえて、本当にこのまま世界が終わっちまうんじゃあないかと縁起でもないことを考えた。
頬や耳を切り刻むような鋭い風に吹きつけられながら辺りを見回すと、板っきれを白いペンキで適当に塗ったような看板が、砂浜に雑な感じで突き立てられていた。チープな安っぽい赤ペンキで、何かが書かれている。

「『全てをもとに戻せる池』だぁ? いや、池ってサイズじゃねえだろ……」

目の前に広がっているのは、どう見ても海にしか見えない。薄暗く冷たい風が吹いている、冬の海だ。
この水たまりが海なのか池なのかはさておき、全てをもとに戻せるのか、と素直に思った。

主の全体重が、手や、肩や、首にかかっている。
意識不明な大の男一人を支えているのだから、まあまあな重みを感じている。
体温はまだ温かい。

「全てをもとに戻せるのか」

海に向かって一歩、踏み出した。
同じようにして、一歩、また一歩と湿った砂浜を踏みしめて、靴も脱がずに、主を支えながら水の中に足を踏み入れた。
明らかに怪しくはあるが、何かあったって自分がいれば主一人守れるだろう。本体もなけりゃ刀装もないが、身ひとつあればなんとかなるだろう。
海水はやっぱり冷たくて、服が肌に貼りつく感覚が不快だった。

膝上のあたりまで浸かった時だった。
主が小さく身動いだ。
気がついたのだろうかと舞い上がりかけて、すぐに心臓が止まりそうになった。
植物の成長の映像を、早回しで巻き戻しているような感じ、とでも言えばいいのだろうか。
呆気に取られているうちに主は成人から青年へ、青年から子供へ、子供から赤子になった。
おい、と手を伸ばそうとした瞬間には、赤子は赤子ですらなく、猿のような姿に変わっていた。
やめろ、と言う声が震えている間に、猿は恐竜に姿を変えた。まるで子供の粘土遊びのように、しかし瞬きする間に一瞬で姿が変わっていく。
成す術もなく立ち尽くしている目の前で主は最終的に小さな魚の姿に形を変えていた。
冷たい水の中で小さな尾びれをはためかせたかと思うと、すぐさま沖めがけて泳いで行ってしまった。

「おい、待てよ……」

手を伸ばそうとして、ようやく自分の体が溶け出していることに気づいた。

全てをもとに戻す。悪い冗談だ。

生物はみな、元を辿れば海で生まれたのだという。
ならば槍の自分が戻るのは、なんだ。

考える間すら与えられなかった。気づけば捏ねられた後の粘土のように、人の形を失っていた。
ただの鋼に戻った体で、叫ぶことも、足掻くことも、苦しいと思うことも、冷たいと思うことも出来ず、海の底にへばりついていた。

そうして、声にならない叫びと共に目を覚ました。冬だというのに熱い汗をかいたらしく、枕が湿って気分が最悪だった。



あれは悪夢のようでいて、ただひたすらに現実だったように思う。
自分はやはり物でしかないのだという真理を眼前に突きつけられるみたいな。人の身に起こる、抗いようのない死という現実も。
それを退けることのできなかった自分も、また現実であった。

「20年はちぃと長かったのかもしれねぇ」

明るい黄色のゆず酒を杯の中で揺らしながら目を伏した。

「あいつは強いよ」
「あいつ?」
「主だよ、今のな」

杯を持つ手の人差し指を、陸奥守に向けてまっすぐに立てた。

「いつか言われたことがあったんだ。もう後悔したくなかったんだ、って」

近侍を務めたひと月が終わろうという日、「好きなんだ」という言葉と共に、主に言われたことを思い出す。
思い出しては息が止まるような思いがするくせに、心と言葉をぶつけ合って、体を持って触れ合った人を失った悲しみを、再び繰り返すことに怖気付いている。

好きだ。
ちゃんと応えてやりたい。
触れたい。
手を伸ばしてやりたい。
返事を必ず返すという約束を、違えず守ってやりたい。
そういう感情の一歩手前で未だ踏みとどまっているのは、そのうちまた訪れる「いつか」の別れを予感しているせいだ。
もう何もかも手放せないくせに、いや手放せないからこそ、自分は「いつか」が来た時に、あいつの手を正しく離してやれるのか、それが分からない。

「結構クるもんなんだぜ、人が一人いなくなっちまっただけだってのに」

らしくもない泣き言を今さら喉元へ押し返そうとするように、残っていた酒を全部喉へ流し込んだ。
全部を洗い流してくれそうな爽やかな香りが、むしろ胸の内を寂しくするような心地がした。

「いなくなっただけじゃないじゃろ」

厚い雲を断ち切る陽の光みたいな声だった。

「ちゃあんと残しちゅう、繋いじゅうよ。前任さまは、主に。今も主の中の前任さまが、主の背中を押しちゅう。主と一緒に生きちゅうよ」

陸奥守は、光る石を一つひとつ並べるみたいな語り口で言葉を続けた。

「主がこの本丸の主として踏み出したのも、日本号に出会うたのも、みんな前任さまからの贈り物のようなもんぜよ」
「……ああ、分かってるよ」

柔らかく細められた橙色の瞳から、そっと視線を外す。
言われずとも分かっている。けれど結局、前任も主も、両方を諦めきれずにいるのだと思う。だから、いまだ主に何も言ってやれずにいる。

「あーあ、会うてみたかったのう! 前任さまに!」

言うや、陸奥守は四肢を思いっ切り広げながら床に寝っ転がった。

「おんしみたいな男が惚れた男じゃろ? ほんに会うてみたかった」
「変な言い方するなよ」

苦笑して、変に強張っていた肩から力を抜いた。

「むっちゃんよぉ」
「ん?」
「俺も行くよ」

胸の底からこみ上げる熱いものを吐き出すように、息を吐いた。

「腹ぁ括る時が来た」

それだけ言ったが、言わんとしていることは伝わったのか、陸奥守は目を見開いた。

修行へ行く。
危うく死にかけた、あの日。これ以上はないだろうと思っていた自分自身の底を、見ねばならないと思った。
器が必要なのだ。人間からの愛という、乱暴なくらい巨大な情を受け入れるための器。

主に修行の意思を伝えたのは陸奥守が旅立ったその日のことだ。
「修行に行かせてくれ」と頼んだ時、主もやはり陸奥守と同じように目を見開いていたのを思い出す。

「ま、とはいえ、俺の修行はもうしばらく先だがなぁ」
「へ? 何でじゃ」

軽い調子で言うと、陸奥守も調子を合わせたみたいに声をひっくり返した。

「主の盆休みの帰省」
「ああ〜! ちょうどそがな時期じゃのう」

ぺしりと額を叩いた陸奥守は、うんうん言いながら何度も頷いた。
主は修行を快諾した後すぐに、心底申し訳無さそうな顔で「私そういえば……盆休み取ってしまってます……」とこの世の終わりみたいな声で言ったので笑ってしまった。

「それは仕方ないのう、主にとっては大事なことやき」
「な。だから、えーと? 主の休暇が12日からで。不動の帰りが9日、で仮に俺が9日に旅立っちまうと戻りが主の休みに被るってんで……で、主が戻ってくるのが一週間後の18日で」

指折り数えながら頭の中の計算を整えていく。

「で、日本号はいつ発つんじゃ?」
「キリ良く20日でってことになった。18日も主の帰りがいつになるか分からねぇしな」
「ほーかぁ……」

日本号が修行のう、とやけに感慨深げに言って、陸奥守は不意に口の端を上げた。

「あ? 何笑ってんだ」
「うんにゃ、何でも!」

にひ、とイタズラ好きの子供みたいな顔で笑った陸奥守には、ひょっとしたら何もかもバレているかもしれない。
それは構わない。
が、「男にゃ、変わらんといかん時があるきにの!」などと弾んだ声で言われたのは、何かちょっと腹が立った。