「先輩、好きです」







「...ごめん」














入学して直ぐにバスケ部に入って
ある人に恋をした。
隣のコートで練習している男バスの伊月先輩。
サラサラの黒髪に切れ長の目。
かっこよくて私は一目惚れした。





初めて話したのは部活の休憩中。
外で風に当たっていた。



「美女がいいビジョン...キタコレ」

「え...?」


伊月先輩だってことはすぐ分かった。
キタコレ、なんていうのは伊月先輩ぐらいだ。



「バスケ部の子?1年生?」

「あ、はい。」

「こんなに細いのにね」


隣に座ったかと思えば
そう言って私の手首を掴む。
私の心拍数はこれ以上にないほど上がっていた。




「先輩、離してもらえますか?」

「あ、ごめん」

「いえ」

「俺は、伊月俊。君は?」

「 苗字 名前、です」

「よろしく。 苗字」

「おねがいします、」



これが私と伊月先輩の初めての会話。
無愛想だと言われる私はこんな会話しかできなかった。




それからというもののまともに会話できてないままの日々を過ごしていた。





ある日の放課後。
みんなが帰っても私は1人で練習していた。



「あれ?誰かいる...?」

「あ、伊月先輩...」

「 苗字じゃん。何してるの?」

「自主錬です」

「なんで、また?上手いじゃん、 苗字は」

「え、」

「たまに見てるからさ」



私の顔に熱が集まるのが分かった。
私のこと見てくれてるのかなって思うと
恥ずかしくなった。




私は何も言えなくなって
思いもよらぬことを口走ってしまった。








「先輩、好きです」





え、と驚く顔をする先輩。
自分でも驚いた。
なんでこんなこと...







「...ごめん」






頭が真っ白になった












「ですよね、すみません」

「あ、いやそういうごめんじゃなくてさ!」




先輩はこちらを向き、改まった顔をした。







「先に告白させて、ごめんってこと!」

「え」

「俺の方が好き、 苗字のこと」

「先輩っ、?」




伊月先輩は私を抱きしめた。
心地よくていい匂い。
この人のこと大好きだって、心が叫んでる。



「付き合ってください、... 名前」

「はい、こちらこそ」






無愛想なんて




(はい、 名前。名前読んでみて?)
(え、先輩...それはちょっと)
(はやく。)
(......俊、先輩)
(まあいいか、)

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