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「ーーおい、エルネット…、お前ティーパーティーって言ったよな…」


クレスは声を震わせながらそう言った。

エルネットが運んできたポットの中に入っていた飲み物をカップに注ぎ、全員が飲んで暫く経った後の事。

やけに何かがおかしい。
真琴自身が感じていた。身体が火照り、頭がぼんやりとする感覚がある。
眠たいような、眠くないような。


「えー?ティーパーティーってあたし言ったっけ…?」
「言った!なのになんで…」



誰かが机にぶつかった拍子に机の上にあったグラスが倒れ、地面に中身が零れ落ちる。


「なんで酒なんか飲ませたんだよ!」
「ふふふっ、大人のティーはアルコールなのよ♪」


エルネットが持ってきたポットに入っていたのは酒だったのである。見た目は普通に紅茶のような色合いで、アルコール特有の匂いも無く、疑う余地すらないまま真琴達四人は普通にそれを飲んでしまったのだ。
ましてや最初はアルコールを感じない為に、エルネットが次々とカップにそれを注いだのが原因で気付かぬうちにそれなりの量を飲んでしまっていた。

じわじわと効いてくるアルコールが、身体の火照りなどを示し出して来ていた。


「お前…、俺たちが来た時既に若干飲んでただろ…」
「うーん、ちょっとね!ちょっと!」


ウィンクを飛ばすエルネットだが、クレスは頭を抱える。
この国では18歳から飲酒が出来るとは言え、リノは勿論未成年、真琴もこの国で言えば未成年だ。

元上司とは言え疑う事も無く飲んでしまった事と飲ませてしまった事に後悔を抱きつつ、僅かながらに恐怖を感じていた。



「あっつい…脱ぎたい…」


ソファの上で完全に落ちていたリノが急に起き上がったと思うと、服の釦に手を掛けながらぼそりと呟く。


「っ、リノ!早まるな!」


クレスは釦に手を掛けるリノの腕を掴む。するとリノはへにゃへにゃとだらしなく笑い出した。


「えへへー、騙されたぁ?あたし、天才かなぁ〜」


面白いのか面白くもないのか分からずに笑いながらふらふらと歩き回る。
弱笑い上戸と言うやつなのだろうか。
予想外の返答に若干呆然としていたクレスだが、背中からの僅かな衝撃に我に返る。


「…クレス…?」
「真琴…」


ほんのりと頬を紅潮させ、潤んだ瞳をした真琴がクレスを後ろからぎゅっと抱きしめた。




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