カラッと晴れた日の放課後。私はなぜかクーラーの効いた教室じゃなくて、暑い屋上に居た。
「ねぇ!一くん、補習はっ?」
「んー?ちょっと待ってくんねぇ?」
屋上に立ちすくむ私の少し前には、大きな袋を持って下を覗く一くん。
せっかく補習をしてくれるようになったのに、今日は教室に寄るまえにしたいことがあるって走っていくから私も追ってきてしまった。
「危ないわよ、何してるの?」
「おー、いっぱい人が居るなぁ。」
「一くんってば!」
これから何をするつもりなのか教えてくれない一くんに近づけば、袋の口をあけている。
「先生にもオモシロイもん見せてやるから、止めないでくれな?」
振り向いた一くんは悪そうに笑って、私がなにか反応するまえに校庭に向かって袋の中身をばらまいた。
「ちょっ!!なにやってるの!」
「スゲ〜!キレイだな!」
一くんがばらまいたものは色とりどりの紙ヒコーキ。風もタイミングを見計らったように吹きだし、無数の紙ヒコーキが空を舞う。
「キレイ……、」
「だろ?バカサイユでヒマもてあましてたアイツらが考えだしたんだよ。」
ちなみにアレ、全部テストの答案用紙に色塗ったんだぜ?
その言葉で現実にもどされた私は、急いで屋上から下の様子をみる。
下校中の生徒が騒めく中、騒ぎに気付いた先生たちも校庭へでてきた。
「こら、一くん!どうするのこれ!」
「どうするったってなー。もうやっちまったもんは仕方ねぇし。」
満足気に言う様子をみると他のB6のメンバーもどこかでこれをみてるんだろう。
「でもさ先生。なんか、スッキリしねぇ?キレイだしさ。」
ニカッと笑う一くんをみて、なんか怒る気も失せてしまった。
確かにもうやってしまったことは仕方ないし。ギリギリまで彼の計画に気付かなかった私がどうこう言えることじゃない。
「…そうね。じゃあ他のB6たちを捜し出してみんなで掃除と、お説教を覚悟しましょう!」
ゲ!マジかよ!と顔が引きつる一くんの横で、なぜだか笑顔な私はしばらく紙ヒコーキが舞うのを見ていた。
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