「じゃあ、ここはどこの国?」
「ん……」
「難しいかしら?えぇっと、そうね……サンタさんがいる国っていえば?」
我ながらいいヒントね!と満足気に瑞希くんの顔を見上げればいつもの眠そうな顔と違う顔(すごく僅かな違いだけど)で私を見ていた。
「…いい大人が、ってバカにしたわね?」
そういえば瑞希くんだってもう高校3年生。さすがにサンタさんはないか。
「…別に、そうじゃ…ない。」
「そうなの?」
「サンタさん……いると思う。」
あらかわいい報告。
少し子供らしい一面を見れたことに嬉しくてつい調子に乗り質問。
「瑞希くん、今年は何もらうの?」
「もうお願いした。」
「え?」
まだクリスマスまで半年もあるのに…きっとものすごくほしいものなんだろう。
その何かを聞きたくて口を開こうとすれば、トゲー!と聞こえる。
「ん?どうしたのトゲー。」
「トゲッ、トゲッ!」
めずらしく瑞希くんから離れたトゲーは私の腕の裾を加えてひっぱりだす。
え?え?と、どうしていいかわからなくなって困惑する私に瑞希くんは。
「トゲーが…僕んちにきて…ってさ…。」
「ど、どうして?」
「僕のサンタさんは…トゲーだから…。」
それはあまりにも小さくて、かわいい誘拐犯なサンタクロース。
「クケ〜?」
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