いつものように悠里とゆっくりしていたときのことだった。
「ね、瑞希くん。変なこと聞いてもいい?」
「…変なこと?」
僕の横に座っている悠里に目を向ければ正面を向いたまま。
「もしね、生まれ変わったとしたら、」
「……」
「あ、わ、笑わないでね?」
こくん、と頷いておとなしく続きを待つ。
「…生まれ変わっても、」
それでもなかなか続きを言わない悠里。
なにか、言いにくいこと?
(生まれ変わる…?)
その続きになにがくるか考えてみても、予想できない。
途中で寝ちゃわないように、ただ黙って悠里の口から出る言葉を待っていると。
「…また、私の生徒になってくれる?」
「……へ?」
それは思ってもみなかった質問。
「だから…生まれ変わってもまた、」
「…ふ、」
「笑わないって言ったじゃない!」
途端に顔を赤くしてこっちに顔を向ける悠里をなでてやる。
「…なんで、そんなことおもうの?」
「なんで、って。えっと、」
見るからに焦りだした様子を笑いを堪えて見る。
「また私の生徒になって、でも決して優秀じゃなくていいの。補習とかしちゃっても。それで、その補習の担当教師は」
(あ…なにが言いたいかわかったかも)
「…こっち、」
おいでおいでをして悠里を引き寄せる。
「み、瑞希くん?」
「言っとくけど…、僕は何度生まれ変わっても悠里だけしか、いらない。」
「!」
腕の中でピクンと肩が震えた。
伝わるかな、この想い。
「…生まれ変わってもまたもう一度、悠里を愛す…から。」
「ね、瑞希くん…」
ぎゅっと服を捕まれて、悠里の顔を覗きこめば。
「…今私、すごく幸せかもしれない…」
「…うん。それなら、よかった。」
悠里が幸せなら僕も幸せだから。
2人で幸せになれるなら、何度だって愛を囁くよ。
何度だって悠里を愛すから、覚悟しといてね。
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