ある晴れた日。


「一くん、おつかれさま。」



今日は俺のチームの試合があった。悠里も応援にきてくれてたから、もちろん勝利をおさめた。

いまはその帰り。
本当はチームメイトとメシでもいくか、って話だったんだけど悠里が居んのに他のことを優先させることなんかありえないだろ。



「サンキュ!」


横を歩く悠里に笑いかけるとつられて悠里も笑う。

そして次の瞬間、笑顔を消して申し訳なさそうな顔をする。


「でも…ごめんね、」


「ん?何が?」


いきなり謝りだした悠里を不思議におもって理由を聞けば。



「だって、私が居たから一くんみんなとのご飯行かなかったんでしょう?」



なにかと思えばそんなこと。



「そんなこと、って!」

「あ、口にだしてた?」


しょぼくれてる悠里は見てっとかわいくて、うっかり思ったことが口に出てたみてぇだ。



「いいんだよ、俺が悠里と帰りたかったんだし。」


「でも…きゃっっ!」


「っぶねぇ!!」


何か言おうとしてこっちに顔を向けた瞬間につまずく悠里。それをすばやく腕をのばして支える。



「あ、ありがとう…!」


「ったく、心臓とまるとこだったぜ。」


支えた腕で悠里の体をぎゅっと抱き締めて、ハァとため息をつく。



「ごめんなさい…」

「……」

「あの、一くん?」

「今日の悠里は謝るばっかだな。」

「え?」


顔をあげた悠里の頬に手をあてて優しく笑う。



「俺はなによりも悠里が大事だから怪我なんか絶対させたくねぇし、俺が悠里と一緒に居たかったから今こうやって悠里のそばに居るんだぜ?」


「はじめ、くん…」


「それに悠里には笑顔が一番だろ。」



そう笑えば恥ずかしそうに笑ってくれる悠里。



「もう、一くんずるいよ。」

「へ?ずるい?」


ずるいことは好きじゃねぇからそんなことはしてねぇはず、だけど…。

そう思っていたら、俺の視線から反らして顔を赤くした悠里が呟いた言葉。


「そんな、嬉しいことばっかり言われたら…また、好きになっちゃうでしょ…」


「…悠里、」



その発せられた言葉に目を見開いて悠里を見ていると、


「は、恥ずかしいから、あんまり見ないで…」



これ以上ないくらい赤い顔で、そう小さくつぶやいたのが聞こえた。


あぁなんだこれ、すげぇかわいい。



「あの、さ、悠里。」

「…なに?」

「俺ずるくねぇとおもう。」

「……」



今度は少し困ったような顔をして見つめてきた悠里。


だから、その顔も、その仕草も、全部。




「俺だって悠里に何度も惚れてる。」





言ってたら恥ずかしくなってチラ、とだけ悠里のほうをみたら赤い顔のままだけど嬉しそうな、そんな顔。





それを見て、俺はまた悠里を愛しくおもってそのままきつく抱き締めた。





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