「んっ、ねぇ、ごろ、くんっ」

「ん〜?」


真正面にある悠里ちゃんの顔は赤く染まってて、僕に話し掛けるのだって息も絶え絶え。


でもそれは僕のせいであって。



「…ま、だぁ?」

「もーちょっと!」


ニッコリ笑って、悠里ちゃんの唇にもう何度目かわからないキスを送る。



「んん、」

「ふふっ、かーわいい。」


こんなに続けて何回もキスしたことなんてないから、苦しいのか彼女の目にはうっすら涙。


それは悲しいからとか痛いからとかじゃない生理的なものだとわかっていても、やっぱり悠里ちゃんが泣くなんてイヤで。



「悠里ちゃん、泣かないで。」

「へ…?」


おそらく無意識にたまった涙。僕の言葉が理解できなくて首をかしげる。


「泣い…っ、ん、」


そんな仕草も可愛くて我慢できずにまたすぐ唇に噛み付く。

いままでより長く夢中になっていると頬に感じる水気。


(涙、こぼれちゃった)



「…はぁ、悠里ちゃん。」

「っ?」

「やっぱりどんな涙でも、君の涙は耐えられないね。」


大きな瞳から零れる涙を親指で拭いながら苦笑い。

愛しい彼女の涙がこんなにも自分を苦しませるなんて。


「こ、これは!悲しいとかじゃなくて」

「うん、わかってる。」



あわてて自分でごしごし拭いだした悠里ちゃんの手をとって顔を近付ける。


「わかってるから、もう一回だけ。」


そう言ってまた優しくキスをした。


涙なんか流させないようにするから。
だから、もう一度だけ僕に君を愛させてね?





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