翼くんの年に一度の特別な日。
だから何でも言うことを聞くって言ったけど…。これはいつまで続くの?


「おめでとう、翼くん」

「Thanks 悠里」

「生まれてきてくれてありがとう」

「悠里に出会うために生まれてきたんだ」

「…っ、」



今日でまた一歳年を重ねた翼くんの膝の上に向かい合わせに座っている私は、さっきからずっと翼くんにお祝いの言葉を紡いでる。


それは翼くん本人が望んだことで、今日のうちに100回私の口からお祝いの言葉が欲しい、ということ。

100回なんて、と思ったけど一言いうたびに嬉しそうに目を細める翼くんを見ればもっともっと言ってあげたくなる。


「つ、翼くん、あと何回?」

「さぁ?」

「さぁって!」


てっきり翼くんが数えてくれてるとおもってたのに、本人は楽しそうに私の髪をくるくると弄っているだけ。


「よし、テイセイだ、悠里。」

「訂正?」

「100回はナシだ。」

「え?じゃあ、もう終」

「俺が満足するまで、だ。」


そんな!100回じゃ満足しないってこと?にやりと笑う翼くんに呆れて、でも嫌じゃなくて。
ただ、問題があるとすれば。


「次は、なんて言ってほしい?」


おめでとう、はもうそれこそ何十回も言っているはず。お祝いの言葉って言ったけど、どうせなら翼くんが聞きたい言葉で満足してほしい。


「…そうだな。愛、を囁いてくれ」

「え?」


そうして眼鏡を外した翼くんはびっくりする私の耳元で、「Please,sweet word.」と囁いた。


それだけで、顔が赤くなった私を見た翼くんは少し困ったように笑っておでこにキスをした。


「そんな顔をするな、我慢できなくなる。」








「す、き…、翼くん、」

「ん、俺も愛しているぞ。」


ちゅっ、とほっぺにキスされる。

あれから私は翼くんの言ったように、愛を囁いている。といっても、好きとか愛してるとか一般的なものしか言えないけど。

こんなに近くで長い間、愛を囁くだなんてしたことなかったし、言うたびに翼くんからも言葉とキスが帰ってくるから私の顔は真っ赤で。


「ねぇ、まだ?」

「Off course.不満か?」

「不満っていうか、恥ずかしい…」


正直にそう言えば、翼くんは眼鏡を掛けなおし顔を近付けてきた。


「じゃあ次がlastだ。とびっきりのspecialの言葉を期待している。」


そう言われたって変に緊張して何を言えばいいかわからない。


でもすぐ目の前には、私の言葉を待つ翼くん。



お誕生日おめでとう

生まれてきてくれてありがとう

私に出会ってくれてありがとう

大好きだよ

ずっとそばにいてね



言いたいことはたくさんあるけど、やっぱり一言じゃ足りなくて、でも全部伝えたくて。

もう全部伝われ、と願って彼の唇にキスをした。


そっと唇を離して翼くんを見れば、もちろん驚いた顔。それが予想以上に恥ずかしくてすぐ体を離そうとすれば腕を捕まれて逃がしてもらえない。


「…つ、つば、」

「そんなかわいいことをして逃がすわけないだろう?」



翼くんの顔は至高に嬉しそうに微笑んだあと、頬に手をそえて優しくキスを返してくれた。













お祝いの言葉

あなたが望めば何度でも
















#翼おめでとう!わたしではこれが精一杯のかっこいい翼です





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