悠里はよく俺のことをB6の兄貴っていうけど、俺だっていつも兄貴でいられるわけじゃねぇんだぜ?
「なぁー、悠里ー」
「んー?」
ソファーに座る俺に背を向けてテレビをみる悠里に話し掛ける。
「こっちこいよー。」
「えー?んー、待ってー」
テレビの真ん前に座る悠里はテレビ番組に夢中みたいでさっきから俺の誘いには生返事。
「こっち、だって!」
そんな悠里にしびれをきらせて、腕をのばし悠里を捕まえる。
「えっ!なにっ、一くん!」
「つーかまえた。」
「暑いよー」
そのままソファーにひっぱりあげて足の間におさめる。
「んじゃクーラーつけりゃ問題ねぇだろ?」
「もったいないってばぁ!」
腕の中でじたばたと暴れるのを押さえ込んで腕を強く回す。
「ねぇ、一くん?」
ぎゅうぎゅう抱き締める俺を不思議におもったのか、顔だけをこっちに向けて覗き込んでくるそんな悠里がどうしようもなくかわいくて腕はどんどん強くなる。
「もうちょっとこのまんま。」
それだけ小さく言って、肩におでこをあてて頭を埋める。
「一くん、テレビ始まったよ?」
「ん。」
「私、…汗臭いかも。」
「臭くねぇよ。悠里の匂いがする。」
「一くん。」
もぞもぞしだす悠里に気付いて少し腕を緩めれば体を反転させてこっちに向き直る。
「あのね、……私も…」
「うん?」
続きを促すように頷けば、俺の服を握っていた手に力がこもる。
「もうちょっと、…じゃなくて、もっと…こうしてたいかも。」
照れながらそんなことを言われれば、一回緩めた腕が再び強くなるのは当然で。
「暑くねぇか?」
「…クーラーがあるし。」
「テレビは?」
「〜〜、意地悪しないで!私は…、一くんがいい。」
顔を少し赤くしてうつむく悠里。
「大好きだぜ、悠里。」
そんなかわいい悠里にくらくらしながら、額にキスを落として、テレビの電源を切った。
#テレビなんかより俺を見て。
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