めずらしく目覚めがよかった朝。
横をみれば、気持ち良さそうに眠る彼。
投げ出された腕に、めくれた服からのぞくお腹。
「はじめくん、まだ寝てる?」
なんて、寝てるに決まってるのに小さく聞いてみる。
でも返ってくるのは小さい寝息だけ。閉じられた口からは、わたしの名前は紡がれない。
それどころか、一くんは寝返りをうって私に背中を向けてしまった。
無意識なのはわかってるけど、淋しくなって一くんの背中に頭をぐりぐり。
「ねぇ、私、こっちにいるんだよ。」
そう呟いたって寝てる一くんに届かないなんてわかっているのに、それでもやっぱり。
「はやく、起きてほしいよ」
「じゃあ、おはようのキス、な?」
「えっ?」
返事がないはずなのに、背中の向こうからははっきりとした声が聞こえてきた。
「はっ、はじめくん!」
「ん?」
「起きてたのっ!?」
「かわいい悠里がそう願うから。」
ボンッ!と赤くなったであろう顔を一くんの背中で隠そうとすれば、ぐりん、とこっちを向く一くん。
「なんでこっち向くのぉ…」
「悠里の顔が見たかったから。」
「さっきまで向こうむいてたくせに…」
寝てると思ってやったいままでの行動を全部みられてたなんて、悔しくって恥ずかしくって少し悪態。
「ごめんな、はよ、悠里。」
チュッとまぶたにキスされて、一くんを見れば、まだ目を閉じてキスを待っている(とおもう。)
「おはよう、はじめくん。」
すごく悔しいけど、恥ずかしいけど、私は眠り王子の唇にそっと自分のを押しあてた。
#なんか悠里先生が子供っぽい
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