たまたまカバンを整理していると、この間生徒からもらったペディキュアがでてきた。
マニキュアはともかく、ペディキュアなんてめったに塗らないのだけど生徒がくれるというのも無下にはできずもらってきた。
せっかくだし、ちょっと塗ってみようかしら。
靴下を脱いで、綺麗な色のペディキュアを爪に塗っていく。
「悠里、何をしているんだ?」
「あ、翼くん。」
「ん?ペディキュアか?」
お風呂から出てきた翼くんはこっちにきてペディキュアを手にとる。
「生徒からもらったの。」
「それは…男からか?」
ワントーン下がった声で聞いてくる翼くんに違うわよと笑いかけるとベッドに腰掛ける。
「左足、塗れてないないじゃないか。」
「うまく塗れなくって。」
手先が不器用なわけではないのに足の爪を塗るのは難しい。
「よし、俺が塗ってやるぞ!」
「え?」
自信満々にそう言う翼くんに私は悪い予感しかしなかった。翼くんは…不器用すぎるから。
「そう遠慮するな!この俺が直々に塗ってやるといっているんだ。」
なぜか楽しそうに私の足を強引に持ち上げる。
「きゃっ、翼くん!」
「小さい足だな。」
足を持ち上げられたことによって座っていた態勢が崩れて仰向けに転んでしまう。
そんな私も関係なしに足をまじまじと見つめる翼くん。
「翼くん?」
「どうした?」
「あの、塗らないの?」
そろそろ恥ずかしくて足をくねくねさせてみる。それでも離してくれる気配はなくて。
「なぁ、悠里。」
「な、なぁに。」
「俺は重症かもしれん。」
ふと翼くんを見れば、その顔は赤くなっていて目を伏せている。そんな顔もかっこよく、…じゃなくてもしかすると。
「……風邪引いたの?」
「そうじゃない。」
言った瞬間、足を離して私の腕をひっぱる。ひっぱられた私は勢い余って翼くんの腕のなかに飛び込む。
「いたっ、」
翼くんの胸で鼻を打った私にもお構いなしにぎゅうっと腕に力を込める。
「翼、くん?」
ペディキュアを塗るという目的も忘れたらしい翼くんは耳元で囁いた。
「頭の先から足の先まで愛せる、というのはどうやら本当らしいな。」
言葉の意味がわからない悠里の体が翼の体によってベッドに沈められ、片方の爪だけ塗られた足がジタバタするまであと3秒。
#翼は少し変態なのかなとおもって突発的に
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