瑞希くんが大学に入って3ヵ月。
大学生活はそれなりには楽しんでいるだろう(と思う)けど、彼はあまり大学について話してくれない。元からあんまり自分のことは話さないってわかっていたけど。こうも何も話してくれないと少し気になるもの。



「ねぇ、瑞希くん?」

「……ん」

「大学、たのしい?」

「……ん、ふつう。」

「え?あぁ、ふつう…ね。」



ふつうってなんなの!まぁ瑞希くんにふつうなんて通じないのだろうけど…。んんん、まずは自分のことを話してから聞いてみようかしら。



「あのね!聖帝はいつもと変わらないわよ。二階堂先生はいつもどおりクールだし、真田先生も相変わらずだし…。」

「……そう。」



うぅ、話してみて気付いたけど学校のことなんて話したって正直ちょっとつまらない。瑞希くんもつまらなさそうだし。



「みっ、瑞希くんのほうは?」


少しの期待をもって、瑞希くんに話題をふる。あれ?ちょっと、不機嫌…?


「僕の大学は……たのしい…かな。」

「たのしいの?それはよかったわ!」


彼からたのしいという言葉が聞けてホッとする。そして初めて自分の大学生活について話してくれたことに嬉しくなる。



「…かわいい子…いっぱいいるし」



え?……かわいい子?
予想もしなかった発言に反応が鈍くなる。



「…懐いてくれる…みんな、いい子…」



微笑みながら話す瑞希くん。ダメ、せっかく楽しそうに話してくれているのになんだか私…。



「…悠里、どうか…した…?」


気付くと瑞希くんがすぐ傍まできていて顔を覗き込んでいる。



「あっ、…ごめんなさい瑞希くん、なんでもないの。」


できるだけ瑞希くんのほうを見ないように後ろをむいたはずだけど。


「…うそ。…悠里、泣きそう。」


くるっと正面を向かされて瑞希くんの目でまっすぐ見つめられる。その目はとても優しくて、なんでもお見通しのようで。


「ちゃんと…言って…。」


ずるい。そんな目で見られちゃうとなんでも言ってしまう。



「…嫌なの。瑞希くんが…他の女の子のこと話してるの。」

「うん…。」

「自分から聞きたいって言ったのに…でもやっぱり嫌で…。」


こんな嫌な気持ちを持っている自分が恥ずかしくてうつむく。


「わがままで、ごめんね。」


でもやっぱり瑞希くんの顔が見たくて顔をあげると、すぐ目の前に彼の顔が。


「……ん、いい子、いい子。」

「み、ずきくん?」


いつものように頭を撫でられて、でもその意味がよくわからなくて。


「かわいい子って…全部トゲーの友達。」

「…トゲーの?それじゃあ?」

「みんな…爬虫類…。」

「えぇ!はっ、はちゅうるい…!そんな、私てっきり…!」


瑞希くんの言い回しにも少しおかしかったけど、それより自分の勘違いに恥ずかしくって顔から火が出そう。


「うん……悠里、かわいい。」


そんな私の顎を手で掬っておでこにキスを落とす瑞希くん。


「…私の反応みておもしろがってたの?」


ちょっと悔しいから瑞希くんを睨む。


「だって…悠里も子犬の話とか、するから…。」

「あ…ごめんなさい…。瑞希くんにも大学の話をしてほしかったから。」

「でも…僕は大学のことより…もっと悠里と話したい。」



もう。どうしてこんなに彼は嬉しいことを言ってくれるんだろう。あんなに瑞希くんの大学のことを聞きたかった自分がどうでもよくなるくらい嬉しい言葉。

大学での瑞希くんも気になるけど、いちばん大切なのは2人きりのときの瑞希くん。








#うわ駄作





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