▼バインディング依存









「なんで…!?どうしてですか仁王くんっ!私が嫌いなんですか!?ねえっ」


柳生は、嗚咽混じりに俺を説教した。きっと、誰も見たこと無いだろう。柳生が声を荒げて取り乱している姿なんて。しかしこれは初めてではないのだ。今までも何度かあった。それは全て同じ原因で。そう、原因は全て俺なのだから。






「ん、やぎゅ?」

「にお…くん…っ」

「なした柳生…!?痛っ」

「誰です?」

「何が…ゲホッ」

「先程、女性と一緒に居たでしょう…?誰なんですかあの方は…ッ」

「…」

「何か言いなたまえ!」

「いつッ…やぎゅごめ…ゔっ、かはっ」






「…ごめん」


どの女も、ただ性欲処理に利用していただけの道具だった。けれど女はみんな一度抱いただけで本気になる。吐き気がした。それに比べて、柳生は本当に可愛い。適度に従順で、なのに本当に俺を好いているのか怪しい程に反抗的で凶暴だった。だから、好きだった。いや、現在進行形で。



「私は謝れだなんて言ってません!あの方は誰かと聞いているんですッ」

「がッ、い…、痛いぜよ…っ」

「自業自得です!私の痛みを知りなさい」

「ぐぁっ、やぎゅう…ぁ゙」


柳生は幾度も幾度も俺を殴り、蹴り。柳生は乱れた呼吸と嗚咽を無視して俺に訴えた。頬を涙が濡らす度に手の甲でソレを拭う柳生はまるで幼い子供のようだった。いつの間にか、あの整えられた髪はぐしゃぐしゃになっている。それより……


(今日は今までより激しくなか…?)


それは気のせいでは無いだろう。柳生は以前よりも異常だった。



「仁王くん…仁王くん…私は…ッこんなにも愛しているのにぃ…っどうして…?どうしてこんな…っ」



顔を手で覆い、柳生は膝から崩れ落ちた。柳生は肩を震わせ、声を出して泣いている。俺は無意識下に柳生を抱き締めた。




「やぎゅ…好いとう…好いとうよ…っ」

「やぁ…っいや…いや…」


柳生はいやいや言いながら抵抗しなかった。それだけが何よりもの救いだった。


「どうして…、なんで…そんなことするの…っ、何故ですか…っ?」


「それは……」












「柳生が…好きじゃきに…」


「は…?」


「束縛…されたいんじゃあ…っ」






きつく背中に回された腕に痛みを感じた。だがそれはどこまでも心地好いものだった。







E.n.d...?




▼あとがき
束縛する比呂士と束縛されたい仁王の話です。泣きながら殴るとか激しく萌えます。28の異常恋愛大好きです。
仁王羨ましい。比呂士が素直に仁王を好きとか愛してるとか言う話、これから書かない気がします。
ただ貴女様が楽しんで頂けることを願います…!それでは!



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