第八話
「なあ、白石。
俺かテニスがはじめたのはな、従兄弟のせいやねん。
たいして乗り気じゃない俺を引きずってな、
クラブまで連れてって、練習させられたんや。」

震える白石の背中を優しく撫でながら、
出来るだけ安心させるように話す。


「最初は素振りだけやらされて、正直言ってテニスなんかしたないって思ってな。
でも、はじめて、ボールを打った時、
俺はなんのために素振りしとったか知ったわ。
それから、素振りするのも楽しみでな。
家でもずっとやっとって怒られた事もあんねん。」


両手で白石の顔をゆっくりとあげさせる。
涙は止まっていたが目が真っ赤でうさぎみたいだ。


「お前は、なんのためにテニスしとんの?
なんのために完璧目指しとんの?
自分のためやろ、
自分がもっとうまくなりたいって思ったから、やっとるんやろ?

お前が努力家なんは俺が知っとる。
オサムちゃんやってお前が努力家やから、お前に任せたんや。

努力ってな、見えんもんやろ。
でもな、誰か必ずお前の努力しとる姿見てくれてるんやで。

それを見てくれん用なやつの言葉なんか、無視してええ。
どうしても嫌なら言い返せはええ。
けどな、そんなやつのために、お前の信念曲げんでええんや。
お前はお前のために動け。
少なからず俺はお前の味方やから。」


安心させるような笑みを浮かべれば、
止まったはずの涙かがぼろぼろと流れてくる。


「えっ、そんな泣かんでもええやん!」

とりあえず乱暴に頭を撫でる。

「はよ泣き止んでや、なんか俺が泣かしたみたいやんか」

「おん、ありがとうな、俺もっと頑張るわ」





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