第六話
白石は言い淀んでいるのか、
何か言いたそうに口を開いては閉じてを繰り返していた。


いつもの白石らしからぬ行動に、
苛立ちが積もるのを感じながら、静かに白石の第一声を待つ。


ーーさあ、はやくお前の本音をぶちまけろ



「俺はな、オサムちゃんに部長やらんかって言われた時、
不安とかも有ったけど、めっちゃ嬉しかったんや。

ああ、俺の努力を解ってくれとるんやなって思って、
嬉しかった。」


うつむいてしまった白石の表情はよく解らなかったが、
きつく握り締めた拳と、震える声で容易に想像できた。


「俺には、特化した才能なんか無いから、周りにおいてかれんようにって
ずっと頑張っとったんや。

人一倍努力して、それなりの結果出して、
それを見た周りの反応は、皆一緒やった。」


握り締めた拳が微かに震え、一筋の涙がそこを流れ落ちていった。


白石の気持ちはよくわかる。
それは、『私』が長年抱えていた気持ちであり、
『俺』に成るにあたって捨てたものだ。


「白石は天才やからって、あいつは別格やからって、
俺の努力もよう知らんと、勝手なことばっかり、
さっきの先輩達やってそうやった、
ちょっと上手いからって調子のんなとか、どうせコネ使ったんやろうとか」




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