第七話
本入部を終えた俺たちは、玉拾いや素振りに声だしなどを行っていた。
まだラリーすらさせて貰えない。
経験者であろうと初心者であろうと関係なく、だ。
それでも仮入部の時の、500mlの水の入ったペットボトルを両手に持って、ひたすら走り込みよりはましであるが。
あれはなかなかにきつかった。
もちろん肉体的にでなく精神的に。
この体になりテニスを始めてから、ほぼ毎日ラリーやら試合やらをやっていた。
入学前までは、侑士も居て相手が居たから、それが習慣となっていたのだ。
入学後は侑士も居なくなってしまったので、強制的に壁打ちだけになってしまったが、
それでもやはり毎日続けていた。習慣を崩すことは好きではないから。
しかし仮入部中はその習慣は崩れてしまった。
……と言うよりも崩されたと言った方が正しい。
それは仮入部の初日、顧問に集められて初っ端に言われた言葉が、
「ほんなら、一年でラケットもっとる奴は回収するわ。
…あ、ひとり残さずな!!」
だった。
そしてその時に限って、俺は何故か予備のラケットまで全て持って来てしまっていた。
そんなこんなで、俺は仮入部中一切ラケットを触ることが出来ず仕舞いだった。
……正直言って物凄く辛かったし、まさかこんなに自分がテニスにのめり込んでいたとは気付かなかった。
そして本入部が決まってやっとラケットが返ってきたのだ。
久しぶりのグリップの感触を確かめながら素振りをしていく。
思っていて通り、2,3週間ぶりなので体が鈍ってしまっていて上手く素振りが出来ない。
やはり習慣を崩すのは好きではないと心底思った。
………怨むでオサムちゃん!
俺は1日でも速く感覚を取り戻すべくただひたすらに素振りを続けた。
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あとがき
今回の主人公は割りとドジでしたね。
どうでしょうか?
何かご意見、感想、脱字等有りましたら、clap又はmailよりどうぞ。
……ちにみに文中の500mlのやつ、
あれは実は私の通っていた中学のやりかたです。
私がテニス部ではなかったので詳しくは解かりませんが、
結構辛かったみたいですよ。肉体的に。
長々とあとがき失礼しました。
ここまで読んでいただき有り難うございました。
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