第四話
俺は焦りにより動かない頭をフル活用してどうにかこの瞬間を切り抜ける策を考える。
俺にとって、向こうから話し掛けてくれる程簡単な近付き方が有っただろろうか?
これは俺にとってはチャンスなのだ。
昔から、頭の回転は人一倍速かった。
冷静になればこのチャンスを逃がすことは無いだろう。
俺は一度心を落ち着かせ、話し合いの体制に入る。
「なあ、さっきテニスコート見とったやん。じぶんもテニス部入るん??」
「……うーん、まあ入ろうかなって思っとるよ。」
「俺もな、入ろうと思って来たんやけど……」
「けど?」
俺は、ふと空を見上げながら苦笑する。
「俺な、小学校の時からテニスクラブ通ってて、それなりにテニスをできるって自分でも思ってたんやけど、
四天宝寺って全国でもそれなりの所までいっとるやん。」
―――せやからちょっと不安になってな…………。
なんてね。
正直に言ってあまり不安を感じた事は無い。
まず部活について行けなくなる事はありえないのだ。
前世の時は、運動、勉強はできて当たり前として育てられた。
それにより、白石とまでは行かないが、完璧主義になってしまった。
なので、部活については、大した心配をしてない。
ようは、白石に俺がただの馬鹿ではないと思わせるための演技だ。
さて、未来の親友さんは、
どのように出て来るかな?
俺は心の中で嘲笑した。
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