第三話
俺は今テニスコートの前に居る。


見学するために来たので、それ自体はなんら問題無い。




じゃあ何が問題なのかって、


目の前に他の見学者が居ることだよ。


それも、あからさまに見たこと、いや、読んだことある人だ。


ミルクティーブラウンの髪の毛のそいつは、真剣に部活を見学していた。


俺の中で二つの選択肢か浮かぶ。


まるで人付き合いのいい馬鹿の様に話し掛けるが、
それとも話し掛けないか。

しかし彼は逆ナンが嫌いだったはずだ、

別に俺はナンパをする訳でも無いし、男相手にナンパなど
例え前世が女であったとしても遠慮したい。


俺の単独の考えだが、
あくまで彼は知りもしない相手に気軽に絡まれるのが嫌いなのだろう。
そうすると、前者は少し分が悪い。


彼は俺の親友になる相手だ。
ここで下手に苦手意識を持たれでもしたら、後が面倒だ。



やはり今日は接触は控えるべき――




「…なぁ、じぶん、さっきから怖い顔しとるけど、どないしたん??」




一瞬何が起こったか分からなかった。


今俺に話し掛けたのは誰だ?

今俺の周りに居るのは、彼だけだ。

ということは、今俺に話し掛けたのは、


彼だ。




数秒間ぽかんとしたまま固まっていた俺を不思議に思ったのか、
目の前の彼は首を傾げて居る。

原作より幾分か幼い顔立ちの彼は、どこぞのアイドルよりも断然かっこいい、いや、可愛い。



現実逃避がてら、意味の無いことを考えてみる。




予想などしていなかったのだ。

まさか四天宝寺の聖書、白石蔵ノ介に話し掛けられるなんて……












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