おいかけて、つかまえる | ナノ


  02


あれから何度、先輩の部活を見に行っただろうか

ほぼ毎日だと思う
気持ち悪いかな、って不安になって今日は帰ろうと思うのに結局見に行ってしまうんだ
だけどバレないだろう場所を探してこっそりみているので先輩にはバレていない…と思う


今日は月1の委員会の日

この日が凄く楽しみだった
話せるかな?ってそわそわしながら教室に入る

そしたら泉田先輩が私に気付いて軽く手を挙げてくれて、私も小さく手を振って泉田先輩の元へ行く

「隣、いいですか?」

「構わないよ」

そう言ってもらえたので私は泉田先輩の隣に座る

「そういえば」

「??」

「よく練習を見に来てくれているね山田さん」

バレない所で見ていたつもりだったのに普通にバレていた!

「あ、あの…はい…そうです」

「それにしても何であんなに隅っこにいるんだい?もっと見易い場所で見ればいいのに」

先輩はクスクス笑いながらそう話す
あれ、迷惑じゃなかったのかな?大丈夫なのかな?

「あの、迷惑じゃないです…か?」

と恐る恐る聞いてみた
だって、邪魔はしたくないし不快だったら色々考え直さないといけないし

「迷惑じゃないよ。ちゃんと邪魔じゃない所で見ている分にはね。山田さんは見えるのかって所にいるから気になっていたんだよ」

見に行っていいんだ!
もっと見える所で見てもいいんだ!

「本当にいいんですか!?わ、嬉しい!あの邪魔しないからまた今日も見に行ってもいいですか!!」

「ああ、勿論」

そう柔らかい笑みを浮かべながら言う泉田先輩に見とれてしまったのは内緒だ

その後すぐに委員会が始まって
終わったらすぐに先輩はかばんを持って…早く行きたいんだなぁ、部活

「あの、今日も応援してます!見にいきます!」

「ああ、是非。じゃあまた後でね山田さん」

また後で…後で後で……
そのセリフを何度もリピートしながら自転車競技部の練習を見に行った

今日はいつもより見易い所を選んだから、練習から帰ってきた先輩の汗までハッキリ見えて心が震えて、握りしめていた手のひらがあつい…

そしたらバチッと目が合って先輩がフッと笑うから…

私は息が止まりそうになるのを堪えながら、先輩にしかわからないくらいに小さく会釈した








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