04.偶然を装って


今日も今日とてロードに乗り坂を登る

沿道の女子達の応援も力になるモノで
三年生になってまたファンが増えたか…
なんて考えながら手を振るとまた歓声が大きくなって気分が良くなる

女の子というのは可愛らしいな
そう、どの女子も平等に

…と思ってはいるが時々頭を過ぎるのが山田さんの事だった

何がとか何故とかそんなのはわからん
が、時々思わず目で追ってしまうのが事実で

最初は編入生だからという興味本位な部分もあったが今は少し違うな

どの女子の反応も見ていて可愛い
これは確かだけど山田さんの反応はまた少し別で興味を引く

他の女子達は向こうからアクションを起こしてこちらが答える感じになるけど、山田さんはオレから何かしら話しかけてしまうのだ

だから何故だ!と聞かれたらそれはやはりわからないから困ったもので…

日中は汗ばむ事も多いが朝はまだ涼しいな
下りで風を感じながら色々考えていた

今日の朝練は少し早く終わりまだ時間に余裕があったが、なんとなく部室を後にして教室に向かう


……なんとなくと言うのは違うな
練習終わりに部室に向かっている時に、山田さんの姿が見えたから

もう少し話してみたい、そう思ったから早々に部室を後にしたんだ


教室に入るとまだ山田さんしかいなかった
まだ早い時間だから当たり前と言えばそうだろう、しかし…

「おはよう」

「え、あ!東堂くん!おはよう」

「それにしても山田さん、いつもこんなに早くに学校に来るのか?」

「いつもはそうじゃないんだけど…」

どうやら今日、日直の山田さんは昨日のうちから担任に用事を頼まれていたようで、それで朝早くから来ていたようだ

もう1人の日直は今日は試合があっていないから、早くに来て作業しなきゃ終わらないからだと彼女は言う

「そうだったのか、それで作業とは何だ?」

「あ、うん、図書室で新しい本を並べてってそれだけなんだけど」

「図書委員の仕事じゃないのか」

「私もそう思ったんだけど…ちょっとだけみたいだし私がやりますって言ったんだ」

だから図書室に行ってくるねと彼女が席を立つ

「オレも行くよ」

「え、朝練の後でしょ!?疲れてるんじゃないの?いいよ、悪いよ」

「少し走っただけで疲れとらんよ。それにその作業も2人でした方が早いだろう」

だから行こうとオレが歩き出すと、後ろから山田さんの走ってくる気配を感じて

「ありがとう」

と少し震えた声で言う彼女がどんな顔をしているのか何となく見たくなって

振り向いて目が合うと頬を染めて目を泳がせる山田さんが可愛くて、思わず小さく笑ってしまったのだった





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