目を開けたら尽八くんの顔が飛び込んで来て
「おはよう」の挨拶も擽ったい、そんな朝を迎えた

そう言えば、服着てない…!
昨日はいっぱいいっぱいだったけど、冷静になった今急に恥ずかしくなってきた

尽八くんをチラリと見ると、尽八くんはちゃっかり浴衣着てる!

どうしよう、お布団から出れない…

そんな私を察したのか、尽八くんは
「見ない…見てないから!だから、その…服を着たらどうだろうか。いや、ちょっと飲み物でも買ってくるよ」
と言って、部屋から出ていってしまった

それにしても、もうすぐ朝ご飯なのに飲み物もまだあるのに…
気を使ってくれたんだなぁと思うと…尽八くんは本当に優しい

起き上がって思ったけど、何となく身体が重い…
なんだろう筋肉痛だし、色々変な所に力が入ってたのかなぁ…?


尽八くんが戻ってきて、朝ご飯の会場に向かう時にちょっと歩き方がぎこちなかったのがバレてたようで「辛いか?」と心配そうに聞いてきて…
寧ろ恥ずかしいから聞かないで…と思って口篭ったら尽八くんは顔を赤くしてしまった
…多分私が顔赤くしてるのが移ったんだと思う

本当に今日はずっと照れくさくて擽ったい気持ちばかりで

それでも尽八くんに触れたくて尽八くんも同じ気持ちでいてくれてるのか、部屋に戻ったらどちらともなく抱き合ってキスをした


でもこれからお出かけだから…また続きは後で



観光地巡りはとても楽しかった
食べ歩きをしたり、写真撮ったり

「アオ、ほら団子だぞ」
「美味しそう〜!!」

尽八くんがお団子を買ってきてくれて、お団子をこちらに向ける
これは…そう言うことなのかな?

そのままお団子にかぶりついたら、尽八くんが満足そうな顔をしていて
…本当にそんな何気ない顔ですらかっこいいんだから

私もお皿からお団子を取って尽八くんに向けたら、尽八くんは私の手を取って、お団子をひと口

仕草がずるい…
私の考えてる事がわかったのか、フッとわらう尽八くんはやっぱり世界一のイケメンだと思う



その後、その地で有名な神社に行って
お願い事は決まってる

これからも尽八くんと仲良く…ずっと一緒に居られますように

これに尽きる

これからもずっとずっと一緒に居たいよ
こんなに好きになれる人は尽八くんだけ
こんなに素敵な人は尽八くんだけ

だから神様、どうか宜しくお願いします


旅館に戻る帰り道

「アオ」
「ん?」
「その、だな…」
「どうしたの?」
「今後の事なんだがオレ達、大学は違えど近いだろう?」
「うん、そうだね」
「でも実家からは通えんだろう」
「うん、一人暮らし決定だよね」
「その事なんだが…一緒に住まないか?」

一緒に、住む?同棲…って事?
頭がついて行かなくて、上手く言葉が返せなくて
そしたら尽八くんが小さく笑って私の頭を撫でる

「無理にとは言わない。この間、旅行の許可を貰いに行った時にアオの御両親とそんな話が出てな」
「お父さんとお母さんが!?」
「ああ。娘が一人暮らしするのが心配だから、どうかと提案されてな」
「本当に何言ってるんだか…ごめんね?」
「いや、オレは一緒に居れるなら…嬉しいと思ってしまったんだ」
「わ、私も一緒に住めるのなら…嬉しいよ」
「本当か?」
「うん」

尽八くんは口を手で覆って下を向いた
そして二、三回深呼吸をしたかと思えば私の目を真っ直ぐ見て

「これからも大切にする。この先もオレと一緒に居てくれないだろうか?」

尽八くんは、気づいてないだろうね

その言葉、プロポーズみたいだよ?
ねぇ、意味わかってて話してる?

それでもその気持ちが、言葉が嬉しくて

「これからも一緒にいたいです」

そう言えば尽八くんは嬉しそうな顔をして、そのまま腕を引かれて抱きしめられた

知らない土地だから、こんなにも大胆になれるのかな

さっきのお願い事、一瞬で叶ってしまったね
ご利益あったよって皆に教えてあげようと思った


その日の夜もぎゅっと抱き合いながら眠った
今日はただ抱きしめあって、キスしただけ

尽八くんの気遣いで
わたしは良かったのに…
でも、これからまだ先一緒に居れるから

今日は尽八くんの心音を子守唄にして眠った私はやっぱり幸せ者だと思う


旅行から帰る時は寂しくて

だけど、これから色々決める事とか出てくるなって言われたら、急にこれからの事が楽しみで仕方なくなって現金なヤツだなぁと自分に苦笑いをした



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