アオとの旅行は楽しくて仕方がなくて

浴衣姿も可愛いし、楽しそうに笑う顔が堪らなく可愛いんだ

温泉街を回り、食べ歩きをしたり足湯をしたり
写真も沢山撮った

今まで散々我慢させてきて、何処にも連れて行ってやれなくて
こうしてゆっくりと過ごせる事がとても喜ばしいんだ


温泉に入りながら色々と考える

風呂から出たら後はもう寝るだけ
一緒の空間で…隣で…

ならん!ならんよ!!!

きっと…いや、確実に抱きしめてしまう
抱きしめたら口付けをしたくなる

夜に、二人きりで、隣の布団で…?

…変なことを考えるのはよそう
そんな下心があって誘った訳では無い

と、言い切るには…
言い切れない…かもしれないな…


「お待たせ!」
「オレも今出た所だよ」
「そっか、良かった」

風呂から上がって部屋に戻る
手を繋げば嬉しそうな顔でこちらを向くから…
ああ、本当に可愛いな

それにしても髪がまだ乾ききってないのが気になる

「アオ、髪がまだ濡れてるじゃないか」
「遅くなりそうだから、ちょっと手抜きしちゃった」
「ならんよ!そのままじゃ風邪をひく」
「大丈夫だよ 」
「いや、部屋で乾かそう」
「尽八くんがしてくれるの??」
「あ、ああ!オレがしよう!任せておけ!」

と、言ったのは良いものの…


無心でアオの髪を乾かす
そもそも、無心でと言っている時点で無心などではない
前を向いていてくれて良かったと思ったけど…
良くはないな…!細い首とうなじが…

普段髪を上げないアオだから初めて見たな
マジマジと見れば何とも言えない気持ちになる


それにしてもアオはこの浴衣ですら着るのが下手くそなんだな

普通に着るだけなのに、どうしてもこうもだらしなく着れるのだろうか
普段きちっとしてるのに、苦手な事もあるもんだと苦笑いをする

「ほら乾いたぞ」
「ありがとう〜!人に髪の毛触られるのって気持ちいいねー」

…今の自分はどんな言葉でも変な風に結びつけてしまうかもしれない…

そんな感情を抑え込むかのように笑顔を作る
アオも屈託の無い笑顔を向けてくるから少し罪悪感


「尽八くん」
「ん?」
「あの、さ…ギュッてして欲しいなぁ」


…破壊力!!!


わかるだろうか、この破壊力が!

可愛い、可愛い、可愛い!!!
なんだろう、堪らなく可愛いんだ

抱きしめれば、アオも抱きしめ返してくれて

「尽八くん大好き」
「オレも好きだよ」

そのまま…流れのまま口付けた

沢山抱き合って、キスをして、どれくらいの時間がたっただろう

目を開ければ、目を潤ませて頬を赤く染めたアオと目が合った

それにしても、元々だらしなかった浴衣が余計に着崩れているな

無言で直せば「別に直さなくていいのに」と小さな声で言うアオの意味が理解出来なかった

「何を言ってるんだ。ならんよ、それは」
「うん、そっか……ね、お布団は別で寝るの??」
「あ、あ、当たり前だろう!?」
「ギュッてしながら寝たいなって思ってたんだけど、ダメ??」

オレが答えられないでいたらアオは「甘えていいって言ってくれたから…嫌だったらごめん」と

「嫌な訳ないだろう!」
「じゃあいいって言ってよ、嫌なのかって不安だったもん」
「そうじゃないんだ。違うんだ。オレだってそうしたい」
「じゃあ…」
「でも、きっと抱きしめるだけなんて今のオレには無理かもしれないんだ」

抱きしめたらキスがしたくなる
一緒の布団で抱き合ってキスしたら、もっと触れたくなる
今のオレは下心だらけなんだ、すまない

そんなの嫌だろう?だから…

とオレが話すのをアオが遮った

「そんなの、私だって下心だらけだよ」
「なっ!?」
「もっとギュッてして欲しいし、キスももっとしたいし、それ以上も…私はもうとっくに覚悟してたよ」
「アオ…」
「そんな下心だらけの私、嫌?」
「嫌な訳ないだろう!!!」
「私も…私もそれは同じなんだよ?」

敵わない、としか言いようがないな

「ありがとう。でも流されたりだとか無理はしないで欲しい。今ならまだ間に合うよ。手を繋いで眠る事だって出来るんだ。無理強いはしたくない」

「無理強いじゃないよ」

私の意思だから、と真っ直ぐこちらを見て言う

たまらない、可愛い、愛おしい
いいのだろうか…

本当に良いのだろうか

まだオレ自身が迷いが生じてて
だけどアオはオレを見て「好きだよ」と優しく笑うから

本当に、なんて可愛いんだろうか

「オレもアオが好きだよ。愛おしいくて堪らないんだ。大切にするから…その、だな…アオの全てが欲しい」

「私も、尽八くんの全てを知りたいです」

なんて言う殺し文句だろうか

本当に、敵わないよアオには


緊張して手が震えた
オレが直した浴衣をオレが乱していく事に変な気分になった

痛くないか、怖くないか気にしたけれど

それでも沢山「好きだよ」と言うアオが可愛くてオレも沢山気持ちを伝えた

アオが一つ言葉をくれたらオレはその何倍も返したかった
それくらい愛おしくて尊い存在なんだ


幸せ…もうその言葉しか出てこない






朝方、目が覚めればオレの腕の中で眠るアオがいて

軽く抱きしめたらアオの肌の感触が気持ちいい
…いや、これはまずい

下心を、男の欲望を、隠さねば
目を瞑って心を落ち着かせる…けど余計にこれはまずい

結局もう一度目を開けてアオを見れば気持ち良さそうに眠ってて

その無垢な寝顔を見ていたら心が落ち着いてきた

可愛い

おデコにキスを一つ落としたら、ゆっくりアオの目が開いて

「おはよう、尽八くん」
「ああ、おはよう」

可愛い顔で挨拶をするアオを見て

擽ったいけれど、とても幸せな朝を迎えられてオレは世界一の幸せ者かもしれないな


今日も楽しい1日になりそうだ




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