卒業旅行に行こうと尽八くんに言われた後、その日から色々どこに行こうかと調べたりするのが楽しくて仕方なかった

私の両親に旅行の許可を貰う為に尽八くんは家に来てくれて
前々から好感度の高い尽八くんの言うことだし、両親はあっさりと許可をくれた

母なんて「イケメンと旅行とか羨ましい〜」なんて言ってて苦笑い
父も負けじと「母さん、ならボクと旅行に行けばいいじゃないか!」とか言ってるし
母は母で「そうね。お父さんと旅行もいいわね。海外でも行っちゃう!?」なんて言ってる
楽天的な家族で良かったと心底思った

それにしても尽八くんはそういう時でも愛想良く、冷静に話すんだよ
あのかっこいい尽八くんにあんな風にお願いされたらNOなんて言える気がしない
そんな所もソツなくこなせるのって流石だと思う

尽八くんの御家族もOK出してくれたし、無事に旅行に行くことが決定した

旅行のパンフレットを眺めたり、ネットを見たり…
2人でああでもない、こうでもないと話す時間もとても楽しくて

行き先も決まって後はその日を待つだけ

同じ進路決定組の女友達に買い物に付き合って貰って…

「後は何を買えばいいかな?」
「残るは下着じゃない?」
「え!?下着!?」

下着?下着…いるよね

「だって2人部屋でしょ?いるでしょ。だっさいの見られたら恥ずかしいでしょ」
「み、見せないよ…」
「え?2人で旅行なのに何もなしなの?」
「知らないよそんなの」

私の反応を見て友達がニヤリと笑う

「へーえ、東堂くんって奥手なんだぁ」
「!?」
「流石に彼女と2人きりならそういう事、したくなるでしょ」

覚悟はしといた方がいいと思うけど?

と言われて納得。確かにそうかもしれない
今まではそんな事なかったけど、もしかしたらあるかもしれない
だって、私だって全く考えた事ない訳じゃない
尽八くんだったら…いいなって、そういう事するなら尽八くんがいいなってって今もちょっと思ったから

「そうだね!下着買う!付き合って!」
「任せて!」

友達のアドバイスを貰っていつものより可愛いの、買えてとても満足だ

「頑張ってね」
と友達に言われて、ちょっと照れた
これでもしそうなった時も安心だね


旅行当時、尽八くんとは駅で待ち合わせて

「アオ!おはよう」
「尽八くん、おはよう」

二人とも大荷物だけど、空いてる方の手を繋ぐ
顔を見合わせて笑って幸せでしかない

移動中も沢山話して、笑って
遠出もよく考えたら初めてで
初めての遠出が旅行になるなんて思わなかったけど、とても楽しくて嬉しい!

ちょうどチェックインの時間に旅館に着いて
いざ、泊まる旅館の前に着けば緊張してきた…
チェックインも尽八くんはスムーズにしてくれて色々任せっぱなしだ
余裕のある人って素敵だなぁ、と尽八くんを見て思う

お部屋はこちらです、と案内されて入ったお部屋に胸が高鳴る

「わぁ!想像以上に広い」
「いい部屋だな」
「尽八くんが見つけてくれたから!」

ありがとう、と言えば尽八くんは嬉しそうな顔をしてキスをしてくれた

「いきなりだからびっくりしたよ」
「はは、すまない。…可愛い、アオ」

そう言ってまたキスを1つ
止まらなくなりそう…だけどゆっくり一緒にいれるんだから
唇が離れて、顔を見合わせたらお互い笑顔で

「散策でもしてくるか」
「うん!」

可愛い浴衣も貸し出しがあって選んで、お互い着替えて…
尽八くんの浴衣姿って絶対絶対かっこいいだろうなぁ


簡単な着付けで出来る浴衣なのに何だかヘンテコな気がする…

「着替えたか?入ってもいいだろうか?」
「うん、でも何だかちょっと下手くそかも」
「どれ…ああ、少し帯が曲がってるな。直すよ」
「えっ、いいの?」
「ああ、着付けは一通り出来るんだ」

尽八くんの家は旅館だからそういうの、教わるのかな?
なんて思いつつ…あれ、帯を直すんだよね!?
色々と大丈夫かな、変なもの見えないかな
私の考えてる事は顔に出ていたようで

「その、だな…見ない…いや、見えないように直せるから安心してくれ」
「ううん、そんな!何も心配してないから、その尽八くんなら見えてもいい…ってそんなんじゃなくて、そのお願いします」
「あ、ああ!任せてくれ!」

スムーズに帯を直してくれて
その手つきは本当に滑らかでこんな所まで美しい尽八くんは色々とズルすぎる…

それにしてもさっきはテンパって見れなかったけど、尽八くんの浴衣姿…かっこいい、はぁ…かっこいい

何か尽八くんを見下ろすのって新鮮

「ん?どうした、見惚れたか?」
「うん、見惚れてた」

素直に言えば尽八くんはポカンとした顔をして
あ、その顔は可愛い

そしたらみるみるうちにほっぺが赤くなって

「そ、そうだろう、そうだろう!どんどん見惚れてくれ!…ほら、出来たぞ」

言ってる事はいつもの尽八くんなんだけど、照れ笑いが可愛すぎて胸がくるしい、可愛い…
かっこよくて綺麗で可愛い彼氏とかなんなの幸せすぎる

「ありがとう、大好き!」

そう言って抱きつけば尽八くんはちゃんと受け止めてくれるから

その体温が心地よくて、尽八くんの香りがしてとても幸せ…

「俺も好きだよ」

耳元で囁くから擽ったくて
この時の声はいつもより低くてドキドキするんだ

顔を見合わせてキスをして

でもそれはまた後でも出来るから、と

「さぁ、行こうか」
「うん」

差し出された手を握って、旅館を出たら念願の浴衣デートが始まって

足湯がしたいなとか、写真いっぱい撮りたいなとか
温泉街の行きたいところ全部回ろうとか
ご飯までの時間を思う存分楽しんで…

どれもこれも素敵な思い出になるから

笑いすぎてほっぺたが痛くなるくらい楽しくて
尽八くんも同じ気持ちだったらいいなって思った





prev next
back


「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -