14.甘い束縛

アオとは毎日穏やかに静かにこの恋を育んでいる
ゆっくりだけどオレ達のペースで進んでいけたらといつも思っているんだ

周りにごちゃごちゃ言われるのを最小限にする為に今アオに色々と我慢をさせてしまっているが、実の所オレも我慢だらけだ

アオは可愛いし優しいしとてもイイコだ
だからアオに好意を寄せているであろう輩がいたりするもので
見てたらわかる。本当に腹立たしい!

肩を叩かれて振り向くアオ
アイツ…アオにちょっかいばかり出す奴ではないか!
しかも無駄に近い…オレだって今日は触れてないのに
ああ今すぐ割って入りたい牽制したい
しかし、ならんのだよ今は

オレが嫉妬する資格などないのはわかっている
でもやはりこの感情を抑えるのはなかなか困難なもので
今まで無かった感情に戸惑い恋心とは恐ろしいな、と心の中で苦笑いした

しかし毎日のようにこんなモノを見てたら柄にもなくイライラしてしまうのが情けない


どうしたものかとここ数日間考えていたんだ


「尽八くん!」
「アオ!」

2人きりの昼休み
教室に入るや否やどちらともなく抱き合う
アオの体温と匂いに癒される
朝練で多少疲れていたが、不思議と疲れがなくなっていくようだ

「アオ、今日はアオに渡したいモノがあってな」
「え?なに」

キョトンとした顔も可愛いな、と思わず小さく笑ってしまう

「目を瞑ってくれ」

オレがそう言うと素直に目を閉じるアオ
可愛い、キスがしたい
そう思ってしまう自分に首を振る
違うだろ今は!

オレはポケットからあるモノを出してアオの首に付ける

「え、尽八くん…?」
「もう目を開けていいぞ」

そう言って目を開けるとさっきオレが付けたネックレスに手をやった

「こ、こ、これは!?え、これ!え?」
「ハハ!そんなに驚くな。これはオレからのプレゼントだよ」
「え、いいの?嬉しい…」

うっすらと目に涙を浮かべながらそれはそれは嬉しそうに微笑むアオが愛おしい

アオはオレのだと言いたいけど声を大にして今は言えないから、せめてこれ位は許して欲しい

「実はオレとペア…だったりする」
「え!?大丈夫なの?」
「大丈夫も何もオレがそうしたかったんだ。それにパッと見わからんよ」

チェーンの太さと色は微妙に違うからな
アオの方が華奢で女性らしい造りで、アオに良く似合う

この間買ったシャーペンだけじゃ物足りなかった
どうしてもアオはオレのだという印が欲しかった
オレはこんなにも独占欲の強い男だったのか
…少し情けない気もするが

しかし……
嬉しそうにネックレスを触るアオを見ていたらそんな事どうでも良くなるな

もう一度アオを引き寄せて抱きしめる
「アオは何かないか。したい事してほしい事」
「えっとね…」

オレがそう聞いたら予想外のお願いをされて、構わんよと答えたのが数分前

「うん!かっこいい!」
「そうか。たまにはいいものだな!」

アオに、アオの持っていたゴムで後ろ髪を一つに束ねられた
今日はその姿でいて!って言うのが彼女からのお願いごとだった
本当にいつもささやかな事しか言わないし欲がない

それでも嬉しそうにしてくれるのならばこの髪型で一日過ごそうではないか!


教室に戻ると女子達がオレの違いにざわめいた
かっこいい、と悲鳴のような歓声が上がる
気分が良かったので指さす奴をやれば更に黄色い歓声が上がった

チラリとアオを見れば少し不満げな顔をしていたから、アオにもさり気なく指をさしてやった。しかもウインク付きでな!

そしたら顔を赤くして、机に突っ伏してしまったのを見てオレは機嫌良く笑ったのだった





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