やっと気持ちが通じあった
ずっとずっと望んで来た事だった

切なくなる事も苦しくなる事も沢山あったし、もう無理かもしれない…と何度も思った

遠回りしたけれど、こうしてアオちゃんに好きだと言われるのは喜ばしい事で

小さな頃の弟の様な感情の好き、ではないんだ
ちゃんと異性と恋人として好きだと言ってくれた


二人並んで歩く
ふと、ガラスに映る自分たちが目に入った

もうきっと年齢差なんて周りは感じない位にオレは成長したと思う
並んでも違和感がないだろう


しかしすぐに全部が変わる事はないかもしれない
気持ちが伝わって想いあっても、もしかしたら難しい事が起きるかもしれない

それでももう前を向いてオレがアオちゃんを引っ張って行きたいと思う

考えても仕方ない事だし、幸せなはずなのに
いや、幸せだよ

「尽八くん、今度はあっちの店見ていい?」
「ああ見に行こう」
「服選んでくれる??」
「勿論」

アオちゃんが笑ってる
手を繋いで一緒に歩いて、こんなに幸せな事はないだろう
本当にずっとこうして歩きたかった
この時間が楽しくて幸せで仕方ないんだ


「この服どうかな?」
「アオちゃんの好みはわかりやすいな」
「やっぱり?何か似合いそうなのある?」
「そうだな…これはどうだ?」
「あ、可愛い…!試着してみようかな?」


そういって試着室に入っていったアオちゃんを待つのも楽しくて「どうかな!?」と試着室から顔を覗かせるアオちゃんはとても可愛らしいと思った

一緒に映画を見て、買い物をしてご飯を食べて
なんて事ない普通のデートがオレにとっては特別で


「沢山買っちゃった!けど可愛い服沢山買えたし楽しかった」
「全部似合ってたよ」
「良かった〜!喉乾いたね、お茶しようか?」

行きたいカフェがあるんだ〜って手を引かれたのに、突然その手が離された

「アオー!」「アオちゃんー!」

前方からアオちゃんの友人らしき人達が向かってきた

手を離されて多少心がズキズキするが…
咄嗟の事だったから仕方ないと


「アオ、なになに!かっこいい子連れて!」
「本当!イケメンじゃん!え、何カレシ??」

「え、あ、あの近所の子。幼なじみの」

ああ、やはり
何となく不安だった事が的中してしまったと

「えー!そうなんだ〜イケメンの幼なじみとか最高じゃん」
「ちょ、この子うちの妹に写真見せて貰った事ある!自転車で有名な子でしょ!?箱学の」

「うん、そうだよ」

「いいなぁ〜こんな幼なじみ私も欲しい」
「買い物付き合って貰っちゃって羨ましい」

作り笑いをしてるアオちゃんを見て何とも言えない気持ちになった

カレシ?の問いに「そうだよ」と答えて貰えなかった事に多少…いや結構なダメージを受けているようだ

いや、何となくわかっていた事じゃないか
それも覚悟の上で、引っ張っていけばいいと思ってたのに

想いが通じ合っても難しい

気持ちが消化しきれそうもなかった
情けないけれど


「アオちゃん、お友達とお茶しておいで」
「え??」
「オレは先に帰るよ。気を付けてな」


そう言って、アオちゃんの友達に会釈してその場を後にした

大人になれ!と頭では思うのに


その日から、毎日欠かさなかった連絡をどうしても出来ずにいた

電話にも何かと理由をつけて出ず、LINEも当たり障りない返事で…そんな風にしか出来なかった


情けない、それくらい気にするな…と思う自分と
まだちゃんと受け入れて貰えてないように感じて、苦しくなる自分の感情についていけなかった


「早く大人になりたいものだ」


と思わず漏らせば荒北に「はぁ?訳わかんねェ事言ってないでさっさ行けボケナス!!」と背中を叩かれた

目の前は坂
登ってる間は無でいれるから今はずっとこうして自転車に乗っていたいものだな、なんてらしくない事を考えては自嘲した



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