尽八くんへの気持ちが溢れて止まらなかった
沢山待たせて傷つけて
なのに…
それでも尽八くんは私が好きだと言ってくれた

私の気持ちを受け止めてくれた
やっと尽八くんの気持ちに応えられた

付き合って欲しいと頷いた時に見せた嬉しそうな顔が頭から離れない
どれだけ待たせてきたのか…わかってる

狡くて酷い私のことを変わらずにずっと好きでいてくれた尽八くんは本当に優しすぎるし真っ直ぐすぎる

そんな人に好かれるような人間ではないと頭にちらつくけれど、もう考えずにいなければ

素直に、尽八くんが好きだと伝えなきゃ

キスをした時に、元カレとした事を思い出した

なんでファーストキスは尽八くんに取っておかなかったんだろう
言わなくていい事なのに、また傷付けるのに思わず口にしてしまって頭を抱えた

そしたら尽八くんはそれは大丈夫だと笑って言ったんだ

なんの事だかわからずにいると尽八くんが小さな頃の話をしてくれた

小さな頃、私は尽八くんになんども口付けで起こして貰ってたと

あの頃には恋心は抱いていたから、オレにとってはファーストキスだったんだ
アオちゃんは不本意かもしないが、と

確かに、お昼寝から起きた時はいつも近距離に尽八くんがいてくれた

いつもいつも

目を開けると可愛い尽八くんがいて
優しい声で起こされて
それが大きくなるにつれてかっこよくなって

いつも傍にいてくれた私の王子様

散々振り回してしまったけれど、これからは沢山幸せにしたいな…なんて言うと烏滸がましいかな


「それでも」
「ん?どうしたアオちゃん」

「尽八くんは何で私なんだろうね。ずっと…。不思議で仕方ないよ」

かっこよくて優しくて、ひたむきで…
モテモテの尽八くん
なのに私を好きだと、ずっと変わらず居てくれるのは何故だか不思議で仕方ない

「何故だろうな。もう理屈じゃないんだろう」

尽八くんに後ろから抱きしめられながら話すから右耳が擽ったい

それでも優しい声が心地よくてたまらない

「物心着く前からアオちゃんがいて、物心が着いた時には好きだったんだ。幼い頃から優しくて可愛いアオちゃんが大好きだった」

姉が居るから、アオちゃんはお姉ちゃんって感じでは見てなかったよ
その時からただただ大好きな女の子だったんだ

それでもアオちゃんの方が早く成長してしまうのがもどかしかった

「追いつこうと頑張ってもどうにもならんしな」
「確かにね」

私が小さく笑えば尽八くんも笑う

「そうしたら可愛い大好きな女の子がどんどん素敵な女性になっていくんだ」

話せば楽しくて、心地よくて
アオちゃんが笑えば可愛くて、綺麗で胸がときめいて

成長してどんどん変わっていっても、どんどん積み重なるように恋心は大きくなって行くんだ

「だからどうにもこうにもアオちゃんしか心が動かないんだよ。これはもう理屈じゃないんだろうな」

少しは伝わったか?
と抱きしめる腕を強める尽八くんの腕に触れる

「うん、凄く伝わったよ。ごめんね、もっと早くに…」

私が言いかけると静止するかのように尽八くんは「いいんだよアオちゃん」と首を振った

「色々難しかったのは今なら理解出来るんだよ。オレだって沢山戸惑わせて困らせてすまなかった」

尽八くんが腕を解いたから尽八くんと向かい合わせて

すまなかったと言う尽八くんに今度は私が首を振った

「私の事、ずっと好きでいてくれてありがとう。今度からは素直になるから、尽八くんの事、沢山幸せにするから」

尽八くんの手が今度は私の頬に触れて…
近くなる顔にドキドキして、目を閉じようと思っても見とれてしまう

唇が触れるまであと少し


「ありがとうアオちゃん。幸せ過ぎて苦しい位だ」


切なげな尽八くんのこの顔は一生忘れる事が出来ないと思う

世界で一番綺麗な人だと心底思ったから




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