万物流転 | ナノ
33.あめのひ3
その夜、結局風邪をこじらせ発熱した私は寮に帰ることは許されず、翌日大雨の降りしきるなか行われたグリフィンドールVSハッフルパフのクディッチ杯寮対抗戦の応援にも行くことは禁じられた。やけに静かな校舎に耳をすませながら、雨音に時折交じって聞こえてくる歓声に目を瞑っていた。

ぱちっと人の足音で目を覚ました時、ふわふわと宙を浮いた担架で後輩のハリーが運ばれてくるのを目撃した。ダンブルドアは一緒に歩いてきたマダム・ポンフリーに目配せをして仕切りのカーテンを引き治療を始めた。それから、少し経って、びちゃびちゃと水音を響かせながら何人もの生徒が医務室へとなだれ込んできた。

声を聞くと、どうやら双子とハーマイオニーとロンと他数人の生徒がハリーのベッドを囲んで彼が目を覚ますのを待っているらしい。またちょっと時間が経つと、相手チームの選手が箒から落ちた時に作った怪我をマダム・ポンフリーへ治しにもらいに来たのだった。

聞き耳を立てていると、どうやらハリーの箒が暴れ柳に突っ込んで折れてしまったらしい。これをどう本人に説明しようかと焦るロンと涙声のハーマイオニーが相談している。また、それ以外の三年生は今日の試合の流れについてを話し合っていて、彼らの話からグラウンドにディメンターが入り込んだことを知った。

双子が私のベッドの方へ近寄ってくるのが気配で分かり「ウィーズリー!ミス.ウチハのベッドへは近寄ってはなりません!」と校医の鋭く厳しい声で注意されていて、しゅんと肩を落とす二人が目に見えるようだった。

「そう言えば、レイリ先輩も大丈夫かしら…」
「廊下で倒れたのを、ジョージが運んでやったんだろ?」

「あぁ、そうさロニー坊や!あの時のジョージの血相を変えた顔をお前にも見せてやりたかったぜ!なぁ、兄弟?」

「ちょ、おいフレッド!それは言わない約束だろ!」

二人のやり取りに、周りにいた三年生がくすくす笑うのが聞こえた。と言うより…血相を変えて、私を医務室まで運んでくれたのね、ジョージ。私は口の端が上がるのを抑え切れなかった。

20130817
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