万物流転 | ナノ
31.あめのひ
楽しいハロウィンパーティーも終わり、寮へと戻る階段の途中で「通してくれ、さぁ!」とパーシー先輩の声が聞こえて来た。隣りのアンジェリーナとアリシアが「どうしたんだろう?」とお互いに顔を見合わせていると、後ろからダンブルドア校長先生を従えた、管理人のフィルチが来た。

「レディを探さなければならん」とダンブルドアが言うと「探すまでもありませんぜ…ほら、レディはあそこにいる」と顔を歪めたフィルチがカバの絵の中でがくがくと震えている太った婦人を指差して言った。

校長先生は、その絵に歩み寄ると「レディ…一体だれがこんなことを?」と優しく尋ねる。怯えきった婦人は『悪魔のような瞳です校長!』と震える声である者の名を告げると、グリフィンドールの生徒達はパニックを起こした。

『シリウス・ブラックです!やつが校内にいる!』
「なんと!あやつがこれを…? それならば、先生たち全員で、城の中を隈なく捜索せねばならん」

その日の夜、グリフィンドール生は大広間に用意された紫色の寝袋で一晩を過ごすことになった。私達監督生は大広間の入り口を交代で見張りに立ち、校長先生は主席のパーシーともう一人とにこの広間の指揮を任せてこの部屋を出て行った。

「大変なことに、な、なっちゃったね」
「そう…だね」

入り口に立ち、緊張しているコンラッド・アダムズはぎゅっとローブの袖を握っていた。「チョコ食べる?」と私が彼の緊張をほぐすような声色で言えば「もらうよ」とぎこちない笑みを返された。今夜は長い夜になりそうだ…と私は欠伸を咬み殺した。

20130817
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