万物流転 | ナノ
30.わらって4
リドルの日記によって、五十年前のある場面を見てハグリットが『秘密の部屋』を開けた張本人だと僕達は思った。もっと詳しく調べようと思った矢先、寮の僕の荷物が荒らされて、あの日記だけが忽然と消えていた。

その次の日は、ハッフルパフとの寮対抗戦だったのに、もしかしたら僕の目の前に新しい日記の持ち主がいるかもしれない…と考えると気が気じゃなかった。

でも、そんなことも考えられなくなるくらいショッキングな出来事が起った。別に優勝杯をかけたハッフルパフとの試合が中止になったことは、それほどの問題じゃない。僕とロンに大きな衝撃を与えたのは大切な大切な友達――ハーマイオニーまでもが石にされてしまったんだ!

事の真相を確かめるためにパパのマントを使ってハグリットの小屋へ訪れたら、僕達のすぐ後に校長先生と魔法省大臣のコーネリウス・ファッジが現れた。続いてプラチナブロンドの髪を嫌味ったらしくなびかせながらルシウス・マルフォイ氏が小屋に入った。

話の中で停職命令をマルフォイ氏から突きつけられたダンブルドアが「ホグワーツでは助けを求める者には必ずそれが与えられる」と言い、大股で小屋を出たファッジに続きハグリットが「何かを見つけたかったら、クモの跡を追っかけたらええ」と僕達のいる方へ言い残して出て行った。

ダンブルドアとハグリットが連れて行かれてしまった。ハーマイオニーのいない今、僕達に残されたのは『クモを追う』ことだけだった。授業を終えて、偶然見つけたクモの行列をこっそりと二人で追った。そして夜の禁じられた森で『アラゴグ』に出会った。

厚い歓迎を受け、隣りのロンは声にならない叫びを上げた。もうダメかもしれない!そう思った時、トルコ色の塊が大蜘蛛の軍団へと飛び込んだ。行方不明になっていたあのフォード・アングリアだ!それに飛び乗って命からがら森を脱出。寮のベッドに戻って横になった。

アラゴグの言葉を反芻していると、あることに気付いた僕達はこっそりとロックハートの引率するグリフィンドールの生徒の列から外れて三階の女子トイレへ向かった。その途中、マクゴナガル先生に見つかった成り行きでハーマイオニーを見舞うことになったけど…そこで思いも寄らぬ収穫をした。

石になった彼女の右手が何かを握っているのに気付き、ロンと協力してそれを彼女の手から抜き取った。それは、古い本のページを無理に破り取ったもので、毒蛇の怪物バジリスクについて書かれていた。それを見た僕は頭の中でいくつもの複雑な点が一本の太い線と結びつくのを感じた。

僕にしかあのおぞましい声が聞こえなかったのが、スリザリンの怪物がバジリスクという大蛇だったからだ!そして、これまで襲われた生徒が石にされるだけで死に至ることがなかったのは、彼らのうちの誰もがバジリスクの目を直接見なかったからだ!

20130813
title by MH+

*終わんなかった…
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